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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

清経さらにつづき

シテは「如何にいにしへ人 清経こそ参りて候へ」とツレに呼び掛けます。
笛方が下がり、ツレはこのシテの声に、まどろむ枕に清経の姿が見えるが、身を投げたその姿は夢でもなければ見えないだろう。夢とは言え、その姿を見られるのはありがたいことだが、生きて帰らず身を投げたことは恨めしいと謡います。

シテは、妻は恨みを述べるけれども自分にも恨みはあり、せっかく贈った形見をなぜに返したのかと問います。ツレは形見とはいえ、見ればその度に心を波立たせる髪なので、と答え、シテとツレが掛け合いで、清経と妻との形見をめぐって乱れる思いを謡います。
地謡が続けて謡う中、シテは袖を返して二足ほど出、正に向いて開イて二つ拍子。サシ込み開キし、サシてワキ正に向き開キ。左の袖を上げて「恨むれば独り寝の」とツレに寄り、下がって「ふしぶしなるぞ悲しき」と返した袖でシオリます。「実にや形見こそ」と舞台を左に回り、常座でツレに向き直ると「思ふもぬらす袂かな 思ふもぬらす袂かな」の謡に、ツレ、シテともにシオリます。

恨み言を述べつつも互いに想う心に涙する場面。ここはツレの技量も問われるところと想います。鵜澤光さんのツレは出過ぎず、引き過ぎず、この場の雰囲気を実に上手く表現している感じを受けました。女性能楽師を避けるようなつもりはありませんが、どうも女性の能楽師が女性の役を演じると、妙に女らしさが出過ぎてしまって全体の雰囲気に合わないと感じる時があります。光さんは、これまでシテで拝見しても、ツレで拝見しても、性別を超えて能らしい能を演じる方と感じています。

さてシテは「古の事ども語って聞かせ申し候べし 今は恨みを御晴れ候へ」と言って正中へ出て床几に腰を下ろし、地謡が「そもそも宇佐八幡に参籠し」と謡い出します。
ここは本来は「今は恨みを御晴れ候へ」の後、シテが「さても九州山鹿の城へも」と語り出す形ですが、このシテと地謡の謡、大成版の謡本で17行ほどが省略されます。これは恋之音取の小書の際の形のようで、以前の鑑賞記でもこの部分が省略された様子を書いています。
さてこのつづきはまた明日に
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このブログの記載方法などについてまとめています(リンク) 初めてご来訪の方はお読みいただけると幸いです

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