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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

翁をめぐって

翁については、これまで何度も鑑賞記を書いていますし、また翁を廻ってのあれこれも何度か書いてきました。そういう意味で「いまさら」ではあるのですが、今年の一月は九皐会と金剛定期能で翁を観て「おや?」と思うことがあり、あらためて調べてみようかと思った次第です。

その「おや?」っと思ったのは、金剛宗家の翁太夫を正面右よりの席で観ていたところ、千歳兼面箱持の山下守之さんが面箱の蓋を開けて裏返したところで、永謹さんが面を取りだして面紐をほどくなど、面さばきをされたところです。
九皐会での遠藤喜久さんは座したままで、面さばきは面箱持の野村拳之介さんが行ったと記憶しています。記憶違いか?・・・と気になり、後日、これまでの観能記を振り返ってみると、金春流と金剛流の鑑賞記には、翁自身が面箱から面を取りだしたという記載がありますが、他流の鑑賞記ではこの点に触れていません。

さてこれはどうしたことか、と調べてみようと思ったのですが、手持ちの本などにはこの点を書いているものがありません。そこで、こいういう時はネットかと検索をかけていましたところ、東文研・・・東京文化財研究所のサイトに元無形文化財研究室長の高桑いづみさんが1999年、雑誌「芸能の科学」に書かれた調査記録「翁の技法」がアップされているのを見つけました。
1994年から各流儀の能楽師を東文研に招き、所内の舞台で画像及び映像による全役全流儀の技法の記録を行い、その調査録の一部「翁」太夫にかかる部分のみを雑誌に発表したものです。
前書きには、千歳、三番叟については次号以降に掲載する予定とあるのですが、その後の芸能の科学には掲載された様子がありません。どこか別のところに掲載されたのかも知れませんが、残念ながら見つけられませんでした。

さてこの「翁の技法」ではシテ方として、観世の浅見真州さん、宝生の金井章さん、金春の瀬尾菊次さん(現在の櫻間金記さんですね)、金剛の豊嶋訓三さん、喜多の友枝昭世さんの名があり、この方たちに話を聞き、また実際に動きを見せてもらって記録したとのことです。また笛方も三人、小鼓方では六人の名が上げられていて、笛や小鼓についての記載もあります。

この調査記録の中に、「面さばき」について、観世流と宝生流は「面箱にまかせる(箱の位置は扇の先で指示)」、金春流と金剛流は「千歳が面箱の蓋を裏返すと扇置き、面を取り出す 蓋に載せ、面紐ほどき面当てを下に置き、面紐を面の両側に置く」とあり、喜多流は観世、宝生と同様になっています。
これで私の疑問は氷解した訳です。
本記録にはその他の所作や笛の唱歌、小鼓の手の違いなども記載されていて、こんな資料はおそらく他にはないだろうと思われます。もっともこれらの違いは、流儀だけではなく家によっても、演者によっても微妙に違ってくるようなので、これが全てではありませんが、興味のある方はぜひ一読されると良いかと思いました。

という訳で、雑誌の記事の紹介になってしまいましたが、翁も奥が深いとしみじみ思った次第です。
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