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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

采女・・・つづき

さて頼まれたワキ僧ですが「読経・仏事はたやすいけれども誰に向けて回向すればよいのか」とシテに問います。
これを受けて、シテの第二の語りなります。



昔、天の帝(あめのみかど)の御代に一人の采女がいたが、はじめは帝の寵愛を受けていたものの、帝の心変わりを恨んで猿沢の池に身を投げた、と物語ります。
シテ、ワキのやり取りから地謡へとつながりますが、里女は「我は采女の幽霊」とあかして猿沢の池に姿を消します。これで中入りになるのですが、この中入り前「水の月取る猿沢の」と水面を覗き込んだ姿が見事な絵になりました。その風情を残したまま、静かに笛の音に送られるような中入りでした。



アイの語りの後、ワキの謡で読経、仏事をなし采女を弔っていることが示されます。



後シテの出、鵜沢速雄さんの鼓がなんとも優しい感じで風情がありました。緋の大口に白の長絹。長絹は花車の文様で華やいだ雰囲気。とても綺麗です。



池に身を投げた女の霊という設定なので、後シテはそのつらさを訴えるけれども、僧の読経の力で成仏する・・・と、そういう展開になるのが普通ですが、この采女という曲では、既に僧の読経によって成仏したという姿で現れます。
そのため、クリ、サシ、クセと続く采女の昔語りも、既に成仏した身から思い起こされる古の栄華であって、暗さがありません。序ノ舞も優美に舞われ、さらなる弔いを求めつつ猿沢の池に姿を消していくという次第になっています。



ともかく、全体に暗さが無く優美な曲。女の霊、しかもかつて宮中に仕え帝の寵愛を得た女ですから、優雅さがさらに加わった感じでした。
太鼓入り、太鼓無しの違いはあるものの、羽衣と同じ序ノ舞を舞うわけですが、見ている印象が全く違います。所作は同じなのに全く違う印象を受けた訳ですが、序ノ舞の入る曲を二番続けて観るということで、余計にその対比が際だった感じがしました。

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