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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

後朝のわかれ・・・千手のつづき

この曲ではまずツレ重衡が登場、いわゆる出し置きの形です。
「出し置き」というのは中世の演劇では良く用いられた手法らしいのですが、後の場面で登場する人物を先に舞台にだしておく形で、登場楽無しに静かに登場してワキ座などに座ります。
舞台上には出ているのですが、劇の上ではいないことになっているという、不思議な形です。


ツレの武田尚浩さんに続いて、ワキ森常好さんも静かに登場。
ツレがワキ座の床几に腰を下ろしたところから、名ノリ笛が入り常座でワキの名宣となりました。既に一ノ松近くまでワキが進んでいるため、名ノリ笛もいささか短めの感じ。


さてワキ狩野介は、前日、頼朝に遣わされて千手の前がやって来たこと、今日は雨の一日で重衡の徒然をなぐさめようと、酒を勧めるつもりであることを述べます。
その後、シテの出になります。重衡の胸中を思い、雨中、訪ねる旨を謡ってワキに案内を求めます。


ここでツレがサシを謡い、自らの境遇を嘆くのですが、正直のところツレの武田尚浩さんに魅了されまして、この曲一番、ほとんどツレの演技しか覚えていない感じです。
直面のツレというのは難しいと思うのですが、悲しみを抑制した雰囲気が痛いほど伝わってきて「ああ重衡は苦しかったのだろう」としみじみと感じました。


この重衡と千手は、ある意味、両シテと言っても良い位置付けでしょうし、大変重い役柄であることは間違い無いのですが、それにしても良かった。


千手を交えての酒宴、クセから序ノ舞と情趣深い場面が続きますが、さらにシテとツレが向かい合って扇を開いて左手に取り、琵琶と琴の連れ弾きを表す型をとります。
そして二人ともに、その扇を上げて枕扇の型。扇を頭にかざす形ですが、観世流では枕扇といい、眠りについたことを示します。
おそらく二人の契を表しているのでしょうけれども、この枕扇の型、武田さんの姿にしばし見とれました。


一夜が明けて、千手が去るところでこの曲は終わりますが、深い味わいの残る能でした。

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