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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

熊野さらにつづき

車は花の下に着き、一同は車を降りた形で、シテは正面を向いて座り、ワキはワキ座へ着します。
さて花見の宴となるわけですが、クリ、サシ、クセと清水寺あたりの風物、花の盛りを謡いながらも、病気の母に思いを寄せての形を見せ、趣き深い場面。
クセは前半は座したまま、上げ羽で立って舞いだします。


扇で酒を酌む所作がありワキに酒を勧めると、ワキは一指し舞えとシテに命じ、中ノ舞に入ります。


古来、この熊野の中ノ舞は短めに舞うということのようで、三段ノ舞という小書きも各流にあります。とは言え、五段で舞うのが普通だった昔と違って、現在では中ノ舞も三段で舞うのが普通ですから、三段にしただけでは常と同じになってしまいます。
確か宝生の三段之舞では初段の上げ扇の後は常座に下がって下居、シオル型になっていたと思いますが、何かしら型の工夫があるようです。
観世の村雨留だと、急に雨が降ってきたと二段で舞い上げてしまいますが、熊野の心持ちから、とても舞を舞っているところではない、ということなのでしょうね。


この日は小書が付きませんでしたので、そうした変化はありませんでしたが、舞の後に扇を左手に差しだし、降り出した雨とともに散り来る花びらを受ける風情、これは趣深い型でした。さらにシテは短冊を出し、扇を筆にして和歌をしたためてワキに差し出します。
このときに膝行する小書きもありますが、いずれにしてもこの短冊ノ段も見せ場の一つ。
短冊を受け取ったワキは熊野に暇を許し、熊野はめでたく遠江へ向けて帰ることになるという次第。シテは逸る心で橋掛りへと進み、一ノ松で足拍子の後に舞台へ戻って常座で留めの拍子を踏みました。


たしかに何度見ても飽きませんねえ
(90分:当日の上演時間を5分単位程度で記しておきます)

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