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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

能を観ること、感じること

昨日のつづきを少しばかり書いておこうと思います。


昨日の金剛永謹能の会で、列に並んだ方とお話ししたことを書きました。さてその話からのつづきです。
昨日の番組は狂言一番に能一番だったのですが、そこから「能三番とか、そんなに集中して観られない」という話になりました。「二番だって大変かもしれない」とも。
でも、その方、私が知っている限りでは三番立てでも五雲会の四番立てでも、きちんと全曲を鑑賞している様子。


「五雲会なんて能四番ですよね」と話をむけたところ「あれはいいんだ。四番あれば一つは当りがある」・・・なるほど。「観られるならば一番でも多く観た方が良いと思う」ともおっしゃっていました。


このあたりは全く同感です。私も正直のところ三番立てとかになると緊張が続きませんが、でも極力、全曲観るようにしています。思いもかけず良い能にめぐり合う可能性もありますものネ。


さらに共感したのは「絶対的な良し悪しなんて無いし、自分の体調にもすごく影響される」という話です。確かに習いたての素人の能と、名人上手といわれるプロの能なら、万人の評価が一致するかもしれませんが、プロ同士の比較はとても難しい。
流儀によっても主張があるし、個々の能役者にもそれぞれに曲のとらえ方、演技の仕方に主張があるでしょう。
・・・もっとも昔、宝生の野口兼資さんは「理屈はない、ただ稽古したとおりにやるんだ」というようなことをおっしゃっていたそうですが・・・


ともかく、演技上の解釈、見せ方について、どちらが正しいと判定することは難しいでしょう。能に限らず芸術一般というのはそういうものだと思うのです。
例えば、生前には全くかえりみられず極貧のうちに亡くなった画家の作品が、死後に素晴らしい芸術ともてはやされるような例は枚挙に暇ありません。


素晴らしい鑑賞眼と言っても、結局は個人の観方であって、絶対真理ではない、要は好みだと思うんですね。
それと始末が悪いのが自分の体調やメンタリティー。ものすごく影響するんです。だから例えその時「なんだかなあ」と思った場合でも、別な状態で観たら全然違う感想を持ったかもしれません。
その方は「調子が良いときよりも、落ち込んでいるときの方が良いような気がする」とおっしゃっていました。「不調なときは、薬や酒よりも能が効く」んだそうです。


まあ、そんな訳で、私は自分の気に入ったところだけを書くことにしています。
もちろん好き嫌いはあるのですが、嫌いなところを書いても自分も気持ち良くないし、読まれた方も気分を害するかもしれません。


とりあえず、自分が「良かった」と思えるところを書いていると、なんだか得したような気にもなれるんですネ。
そんな訳で、私の観能記にはあまり悪い話が出てきません。


ところで、そのほかにもその方とはいくつかお話をしたのですが、「宝生の若手は層が厚くて楽しみ」ということでも同感でした。
「仕舞を見るとすぐわかる」といったお話もされていましたが、確かに私も仕舞を拝見して「この方の能を見てみたい」と思うことがありますが、こうした場合はだいたい「当り」ですね。


さて今日は、後ほど7月観世会の船弁慶の観能記も書こうと思っています。
では後ほど・・・

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船弁慶 前後之替 観世恭秀(観世会定期能)

観世流 観世能楽堂 2007.7.1
 シテ 観世恭秀、子方 小早川康充
  ワキ 福王茂十郎、アイ 大藏千太郎
   大鼓 大倉正之助、小鼓 幸正昭
   太鼓 三島元太郎、笛 藤田次郎


という訳で、本日二件目の更新は、7月初めの観世会の鑑賞記。
まずは観世恭秀さんの船弁慶からです。


やっぱり船弁慶って面白い能だと思うんですよね。
前シテが静御前で義経との別れを見せて舞い、後場では同じ演者が知盛の幽霊として現れて弁慶と対峙するという変化の面白さ。間狂言の演技なども含め、見どころ満載の曲。


それだけに人気もあったようで、各流に様々な小書があります。
このブログでは、昨年11月の観世流佐久間二郎さんの演能と、今年3月の金剛永謹さんが白波之伝の小書付で演じられた際のの鑑賞記を載せていますが、今回は前後之替の小書つき。前場も後場も替の型になるという意味でしょうね。


観世流の常の形では、前場の静御前はイロヱから中ノ舞を舞いますが、この小書がつくことによってイロヱが省かれ、中ノ舞の途中で橋掛りへ向かい下居してシオリます。


また後場の出で、半幕でシテの姿を見せた後いったん幕を下ろして早笛で走り出たり、装束が白式になって鍬形をつけた独特の姿で登場するなどの変化がありますが、細かくは進行にあわせて記しておきたいと思います。
能の進行は明日から

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