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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

野宮さらにさらにつづき

ワキが待謡で夜を通しての弔いを行うことを謡うと一声の囃子、後シテの出になります。
紫の色大口にほとんど白かと思う薄紫の長絹、大変落ち着いた雰囲気で、晩秋の季節感をうまくとらえた感じ。

後シテは常座で一セイ「野の宮の秋の千草の花車。われも昔にめぐり来にけり」を謡い、ワキの問いかけの中の言葉「車」から、賀茂の祭の車争いの事を述べ、その時の屈辱から生まれた妄執を晴らしてくれるようにワキに頼みます。
ワキの詞で、月光の中を網代車が近づいてきて、御息所が乗っていることが知れるのですが、これを車之伝などの小書がつくと車の作り物を出して見せる演出もあります。
シテのカカル謡あたりから緩急があり、所作も車争いを表します。

「妄執を晴らし給へや」とシテの合掌から、昔を忍びつつシテは序ノ舞を舞います。
舞い上げるとシテ、地謡の掛け合いの謡となり源氏来訪のおりの一時を懐かしく思い出して「風茫々たる野の宮の夜すがら、なつかしや」と破ノ舞。
鬘物の太鼓の入らない序ノ舞の後に、破ノ舞も舞われるのは珍しい形で、野宮だけではないかと思います。

序ノ舞と破ノ舞の気分の違いもうまく表現されていた感じです。破ノ舞から「伊勢の内外の鳥居に出で入る姿は生死の道を神は受けずや思ふらん」と、再び車に乗って「火宅の門をや出でぬらん、火宅」と留。破ノ舞の前後など地謡が随分と頑張った感じで、情念の疼きのようなものが感じられたところでした。

この「火宅」という体言止めのラストも実に深い思いの残る謡です。上掛りでは「火宅の門(カド)」としますが、金春と喜多では「火宅」までで止めてしまいますね。金剛流はたしか「火宅の門を」と少し柔らかい感じだったかと。
いずれにしても作者不詳とされていますが、見事な能の一曲です。

さて宗家が書かれた野宮の装束をめぐる新聞の一文、一昨日ちょっと触れましたが、この座・SQUAREの公演を踏まえて書かれたものです。
番組の構成についても『本格的「鬘物(かずらもの)」の「野宮(ののみや)」で退屈したお客様がいらしても最後の「土蜘(つちぐも)」で楽しんでいただけるという配曲で・・・なかなか配慮が効いています』とも書かれています。たしかに野宮で一曲の半分以上を眠っておられる様子だった方が、土蜘では全曲しっかりとご覧になっているのを見かけました。
(126分:当日の上演時間を記しておきます)
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