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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。曲目の解説、能と狂言の鑑賞記については「索引」を設けてあります。スマホ用、PC用それぞれ用意しましたので、お使いのデバイスにしたがってお選びください。

大原御幸もう一日だけつづき

ロンギとなり、謡に合わせる形での所作の後「あるべき住居なるべし」と法皇に向かって正中へ出、杖を後見に渡して着座します。

シテはこの奥山の住まいまで御幸あったことに感謝し「返すがへすもありがたう候」とゆっくり合掌します。
法皇は、ある人の言うに女院は六道の有様をまさにご覧になったとか、それはいかなることかと問いかけます。
これにシテが答えてクリ・サシ・クセと一門の都落ちがさながら六道の巷に迷う姿であると謡われます。クセは居グセで特に型はありませんが趣深いところで、微妙にシテが揺れている動きが、泣いている姿を思わせます。

そしてなぜかこののち法皇は「先帝の御最期の有様、何とか渡り候ひつる御物語り候へ」と女院に求めます。これに答えてシテの語。割と速めにスラスラと謡う感じですが、よくよく聞くと実に深い謡で、丁寧に謡われていました。
この語の最後は、二位の尼が安徳帝の手を取って舷に臨み、波の下にも極楽世界があると言って入水する場面になりますが、「今ぞ知る御裳濯川の流れには波の底にも都ありとは」という歌を残して入水された後を追って、自らも身を投げたものを、源氏の武士にすくい上げられてこうして法皇にお目にかかり、不覚の涙を流すのが恥ずかしいと安座して合掌します。ここは思わず涙が出そうになったところ。

さてこののち法皇は還御することになり、橋掛りへと進んでいきます。これをシテ女院が藁屋の柱に右手をかけ、局と内侍がその右に立って見送りますが、法皇一行が橋掛りを進んでいくと、シテは目付方に向かって深く面を伏せ、内侍と局の二人がシオリする形。この最後の形は大変に趣深いものでした。シテの女院までシオってはくどくなったと思います。一曲の雰囲気をまとめた留でした。

いつも以上に細々と型の展開など書きましたが、長い上演時間の間、それだけ集中して観ていたということですネ。
(102分:当日の上演時間を記しておきます)
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