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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

鬼瓦のつづき

大名は、いずれ自分の領地に因幡堂の薬師如来を勧請するため、堂の様子をとくとく見覚えて行こうと、太郎冠者と堂のそこかしこを眺めます。

古、飛騨の匠が建てた堂ということで、天井を見上げたり、御厨子を見ようと少し遠くを見たりします。さらに太郎冠者を伴って後ろ堂へ参ると、ワキ座を立ったシテは正中から目付を見上げ、太郎冠者もこれについて常座を立って舞台を廻りつつ、後ろ堂の見事な建築を褒めていきます。
この褒め詞は、流儀によって異同があるようですが、なんだか立派な御堂を見ているような気がしてきます。

破風を褒めた後に、大名はワキ座に戻って上を見上げ「あのつぅっと空に黒い物がある、あれは何じゃ。あのつぅっと」と突然に言い出します。これに太郎冠者が、あれは鬼瓦だと答え、大名も「まことに鬼瓦じゃ」と納得します。

しかしその後、その鬼瓦が誰かに似ていると思案していたシテ大名は、いきなり泣き出してしまいます。ここがこの曲の上手くできたところでしょう。

太郎冠者は不審に思い問いかけますが、大名は鬼瓦が国元の女共(つまり自分の妻)とそっくりだと言って泣きます。「口の耳せせまで引き裂けたところ」や「首筋に苔の生えたところ」など、そっくりだと言いだし、この荒唐無稽さに見所も笑いが出るところです。
この例えの部分も流儀や家によってバリエーションがあるようですが、いずれにしても鬼瓦そっくりの妻が居たら、やはり大変でしょうね。

故郷を思い出して泣いている大名を、太郎冠者はすぐに帰れるからと慰め、二人して笑って留になります。
あり得ないばかばかしさではあるのですが、ただおかしいだけではなく、なんだか大名の心情に、優しい気持ちを感じてしまう不思議な曲です。
(14分:当日の上演時間をおおよそで記しておきます)
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