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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

青野守もう一日のつづき

さて塚の中に姿を現した後シテですが、青野守の名前の通り萌黄法被に萌黄半切の姿です。面は大べし見で黒頭でした。青の姿なので「青鬼」と捉える向きもありそうですが、この青は春の心ということのようです。

明生さんの演能記には、粟谷家に伝わる伝書に野守は春の能であり、地獄の鬼ではない旨が記されていると書かれています。春日野の陽精、春神という位置づけです。
昨日触れたワキの待謡からも窺えるように、たしかに地獄の鬼というだけではしっくりしない曲になっています。その春神的な面を強調した演出がこの青野守ということなのでしょう。
自分の姿が恐ろしければ帰ろう、と言う鬼神には、行者が祈り伏せるべき鬼と全く違う性格が見とれます。

作り物を出たシテは鏡を使って舞いますが、その鏡には天部の諸伸から地獄の有様まで、あらゆる事が映し出されます。その明鏡をシテはワキに捧げます。
観世、宝生では鏡を持ったまま終曲となり「奈落の底にぞ入りにける」となりますが、金剛の工藤さんは鏡を渡した後、両袖を巻き上げたところから飛び安座で終曲となりました。
今回は大きく広げた両手で半切の裾を持ち、飛び安座とされました。

毎回、明生さんの演能では、様々な工夫を拝見します。常にどのように演じるべきかを求めておられる姿勢に、惹かれるところです。
(60分:当日の上演時間を記しておきます)
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