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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

地蔵舞さらにつづき

主人は先ほどの舞が短かったのでもっと長い舞を舞うようにと出家に求め、出家はそれならば地蔵舞を舞うので囃して欲しいと求めます。

シテが進み出て今度は地蔵舞。出家が「地蔵舞を見まいな」と謡い、アドも「地蔵舞を見まいな」と囃すとシテ出家の謡い舞いになります。

「地蔵の住む所は、加羅山に安養界、地獄餓鬼畜生、修羅人天耶麻兜率天 二十五有を廻って罪の深き衆生を、錫杖を取り直しかい救うてはぼったり、ついすくうてはひったり、昔釈迦大師の、忉利天(とうりてん:一文字目は環境依存文字でりっしんべんに刀です)に上って御説法のふしに、地蔵坊を召されて、忝なくも如来の黄金の御手を差し上げ、地蔵坊がつむりを三度までさすって、善哉なれや地蔵坊、善哉なれや地蔵坊、末代の衆生を地蔵へ預け置くなりと、仰せを請けてこの方走り回り候えど、誰やの人か憐れみて、茶の一っぷくもくれざるに、くたびれ果つるお地蔵、このお屋敷へ参りて、あいの物で十杯、三度いりで十四杯、禄目に任せて二十四杯飲うだれば、糀の花が目にあがり、左の方へはよろよろ、右の方へはよろよろ、よろよろよろとよろめけば、慈悲の涙のせきあえず、衣の袖を顔にあて、ころもの袖を顔にあてて、六道地蔵の酔い泣きしたをごろうぜ。酔い泣きしたをごろうぜ」
と謡い舞いし、最後は拍子を踏みガッシしてのシャギリ留めになりました。
地蔵舞の詞章は聞き取りですが、和泉流とは微妙に違っています。

まずは楽しい曲ですし、宿を貸さないというので笠を置き、その笠に宿を借りたと理屈をこねたり、酒は呑まないが吸えばよいなど、笑いの要素が盛り込まれています。

一方で、シテが最初に語るように身一つの気楽な物であるはずの出家が、旅人に宿は貸さないという掟に阻まれるのは、中世の現実だったのでしょう。
定住しているいわゆる良民と、漂白の人々との関係は、亡くなった網野善彦さんが指摘して以来ようやく注目されるようになりましたが、こんなところにもそうした関係性が顔を出していたのかと、ふと思った次第です。
(28分:当日の上演時間を記しておきます)
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このブログの記載方法などについてまとめています(リンク) 初めてご来訪の方はお読みいただけると幸いです
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