能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

嵐山 猿聟 水上優(時の花「春」)

宝生流 宝生能楽堂 2013.04.27
 シテ 水上優
  姥 藪克徳、木守 和久荘太郎、勝手 高橋憲正
  ワキ 野口能弘、ワキツレ 野口琢弘 吉田祐一
  舅猿 山本東次郎、太郎冠者猿 遠藤博義
  聟猿 山本凜太郎、姫猿 山本泰太郎
  供猿 山本則孝 山本則重 山本則秀 若松隆
   大鼓 柿原光博、小鼓 田邊恭資
   太鼓 梶谷英樹、笛 小野寺竜一

観能記がすっかり滞ってしまいました。久しぶりですが、四月の「時の花」から・・・
「時の花」という宝生会の企画公演、四季折々にちなんで一昨年から始まったこの公演ですが、今回が6回目。春らしく曲は嵐山です。狂言は替で「猿聟」。前々から機会あれば観たいと思っていたのですが、うまい具合にスケジュールが合わず、猿聟は初見です。

さて舞台には、手前両端に桜を立てた「桜ノ一畳台」が運ばれてきて正先に据えられます。桜立木台が出される方が多いと思うのですが・・・私の記憶にある限りでは桜立木台が出る形で観ていますが、流儀によっては桜ノ一畳台が出されることもあるようです。
もっとも同じ宝生流の高橋章さんの演能では桜立木台で観ていますので、もしかすると小書のためなのかもしれません。いずれにしても桜ノ一畳台の方が、さらに春らしい花やかさを感じます。

座付きが吹かれてヒシギ、真ノ次第でワキ臣下とワキツレ従臣が登場してきます。
野口能弘さんのワキ、白大口に紺地の袷狩衣、風折烏帽子の大臣ワキですが、なかなか良い雰囲気です。赤大臣のツレを従えての登場ですが、以前よりも風格が感じられるように思います。檀風の船頭も良かったですが・・・

ともかくも舞台中央で次第、三遍返しでワキの名乗り。「和州吉野の千本の桜は」と一畳台の桜を見込み、道行を謡って嵐山にやって来た風です。
心静かに花を眺めようというワキに、ワキツレが然るべう候と答えて一同はワキ座に着座します。
囃子は真ノ一声で前シテ、前ツレの出になりますが、このつづきはまた明日に
*** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** ***
このブログの記載方法などについてまとめています(リンク) 初めてご来訪の方はお読みいただけると幸いです
スポンサーサイト

嵐山のつづき

真ノ一声で姿を現したシテ、ツレですが、ツレ姥が無紅唐織着流しに水衣、杉箒を担って先に立ち、白大口に小格子厚板、水衣に杉箒を担ったシテが老人が後に続きます。
ツレ一ノ松、シテ三ノ松で一声、二ノ句と謡い、二人揃って舞台に入りツレが正中、シテは箒を肩から下ろして常座に出「これは嵐山の花を守る」と謡います。

下歌、上歌と謡って立ち位置を入替え、ツレ姥は箒を後見に渡して目付へ。シテは正中に箒を持ったまま立ちます。
ここでワキがシテに声をかけ、如何なる人かと問いかけます。

シテ、ワキの問答から地謡の下歌。二人が勝手木守の二神であることが明かされ、ワキはワキ座に戻って着座します。
地の上歌。ツレが笛座前に下がり、シテは「菜摘の川の水清く」と目付に出、舞台を廻って常座へ。「いざいざ花を守ろうよ」とツレに向いて二足ツメ「春の風は空に満ちて」と正に向き直ると箒を捨てて扇を出し、目付に出て舞台を廻ります。
さらに大小前から正中に出ると「日も既に呉竹の」と笛柱を見込み、常座に進んでワキを向きます。

「明日も三吉野の山桜 立来る雲にうち乗りて」と正中から目付へ出て常座に戻り「南の方に行きにけり」と常座で正を向いて開キ、来序で中入となりました。ツレも合わせて立ち上がっての中入です。

来序の囃子が狂言来序に代わると、通常はアイの末社の神が登場してきますが、今回は猿聟の小書のため、ワキがワキ座より後ろに下がって舞台を空ける形になり、父猿の東次郎さんが登場してきます。
素袍上下で、頭巾にさらに侍烏帽子を着けて登場してくると、都の西、嵐山の猿(マシ)にて候と名乗ります。
さてこのつづきはまた明日に
*** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** ***
このブログの記載方法などについてまとめています(リンク) 初めてご来訪の方はお読みいただけると幸いです

嵐山さらにつづき

父猿は、三吉野より聟殿のお出でなさることでござると述べると、キャッキャキャキャ キャアキャ、と猿の声真似で笛座前に下がります。
聞いた話では、和泉流ではすべてキャアキャアという猿の声で演じるらしいのですが、山本家では要所要所を人の詞にし、場面展開を詞でもある程度追えるようにしています。

美男鬘の娘猿、紺の素袍上下に侍烏帽子の聟猿、供の猿が四人登場してくると次第。「今日すでに壬申(みずのえさる)の日足かけ 聟入りするこそ嬉しけれ」と謡って、聟猿の名乗りです。山本凜太郎さん、久しぶりに舞台で拝見しましたが、すっかり立派になりました。千歳の舞を健気に舞ったのを観たのが遠い昔のことのようです。

さて聟猿は和州三吉野の花のもとに住む猿(まし)にて候と名乗り、最上の吉日なので都の西嵐山に聟入りすると述べて、供の四人とともに道行になります。
「三吉野の花の梢を這い出でて・・・」と謡い出し、最後は目付まで出て正中に戻り「着きにけり」と嵐山に到着します。

キャアキャアキャアと鳴き声を出しながら一同は橋掛りに出、娘猿が一ノ松、聟猿、供猿が並んで案内を乞う形です。
これに対して太郎冠者猿が進み出て、供猿の持ってきた祝いの酒樽・・・という設定の葛桶を受け取り、父猿がワキ座に。一同は舞台に入って、娘猿がワキ座の父猿の横に控え、聟猿は目付に着座します。

太郎冠者猿が酒を持って出、父、聟、父と盃を取り、聟が謡います。謡い終えると今度は父猿が娘に盃を取らせて一句。
娘猿も飲み干すと、聟の舞です。
賑やかな祝宴の様を、キャアキャアという猿の様で演じるところが面白いわけですが、はてこれはどういう寓意なのか。嵐山は猿の名所でもあったのか、民話にはいわゆる異類婚姻譚の一種である猿聟入りの話がありますが、そういうわけでもなし、不思議なところであります。

ともかくも賑やかに謡い舞いした一同は、狂言地謡の「なほ千秋や万歳と。俵を重ねて面々に。俵を重ねて面々に。俵を重ねて面々に。楽しうなるこそ目出たけれ」の謡で舞い納めると、聟、娘、父、供の順に退場します。
ワキが座に戻り後場になりますが、このつづきはまた明日に
*** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** ***
このブログの記載方法などについてまとめています(リンク) 初めてご来訪の方はお読みいただけると幸いです

嵐山さらにさらにつづき

囃子は下リ端、木守が緋の大口に白の長絹、天冠を着け右手に桜の枝を持った女神の姿で出、勝手は金の風折烏帽子を着け、白大口に袷狩衣の男神の姿で、こちらも手には桜の枝。
いつぞやも書きましたが、観世は勝手が女神、子守(木守とは表記も違います)が男神で出ます。このあたりの理由は存じておりません。

さて、二人並んでの相舞で、サシ込み開キ、左右から打込、そして開キと続き二人の同吟から地謡との掛け合い。サシ込み開キした二人は目付に向かう形で進み角トリ。舞台を左に回って常座からサシ込み開キと続けて「万代と」で六拍子。幕方を向くと二人して招き扇の型を見せ、桜を後見に渡すと扇に持ち替えて常座に進み、天女ノ舞の相舞です。

舞上げると大左右、開いて目付に出、袖を返して左へ回ると大小前でサシ込み開キ。サシて出ると「異香薫じて瑞雲たなびき」と幕方を向き、サシ込みして雲扇。蔵王権現を待つ形になって早笛です。

後シテ、赤頭に法被半切の蔵王権現が一度姿を現し、幕内に下がるとあらためて豪快に登場して橋掛り一ノ松で六拍子。舞台に入ると正中から一畳台手前まで出て開キ、台を使いながら豪快な所作を見せます。
地謡の「悪魔降伏の青蓮のまなじりに」で木守、勝手の両神がシテの左右に立ち、さながら「子守勝手蔵王権現 同体異名の姿を見せて」の詞章を現前に現す風情です。
目出度く舞上げ「栄ゆく春こそ久しけれ」と終曲になりました。

この短い後場、実は大変印象が良かったのです。
水上さんはどちらかというとお名前の通り優しい雰囲気のシテで、これまでこういう豪放な曲はどうだろうかと思っていたのですが、蔵王権現らしい法力のみなぎる雰囲気。
後ツレ二人を従えて舞台中央にすっくと立った姿に、なにやら神々しい力を感じた次第です。宝生の嵐山って、こんな曲だったのか・・・とあらためて認識したところです。
*** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** ***
このブログの記載方法などについてまとめています(リンク) 初めてご来訪の方はお読みいただけると幸いです

 | HOME | 

カレンダー

« | 2013-07 | »
S M T W T F S
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

月ごとに

カテゴリー

カウンター


最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

プロフィールなど

ZAGZAG

頑張らない、をモットーに淡々と行こうと思っています。

FC2Ad