能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

因幡堂 茂山千五郎(金剛定期能)

大藏流 金剛能楽堂 2016.03.27
 シテ 茂山千五郎
  アド 網谷正美

3月の末に行ってきた金剛能楽堂。いつ行っても混雑している印象の京都ですが、それだけ観光客を惹きつける何かがある、ということなのでしょうね。

その京都の因幡堂を舞台にした狂言の一曲。もう3ヶ月以上も経ってしまいましたし、これまでも何度かブログで取り上げてきましたので、特に曲の進行などは記載しませんが、なんともイイ感じの一曲でした。
70歳近くなられた網谷さんが演じる妻ですが、実に愉快で元気な様子・・・「わわしい」というのは、こういうことを言うんだな、としみじみかんじるところです。
千五郎さん演じるシテの男は、可愛げがあって、ついつい「頑張れ!」と声をかけたくなるような雰囲気です。

9月には千五郎さんも「千作」を襲名される由、能楽堂に置かれていた襲名公演のチラシを大切に持ち帰ってきました。
(24分:当日の上演時間をおおよそで記しておきます)
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泰山府君 金剛永謹(金剛定期能)

金剛流 金剛能楽堂 2016.03.27
 シテ 金剛永謹
  ツレ 今井克紀
  ワキ 福王知登
  ワキツレ 喜多雅人 是川正彦
  アイ 茂山良暢
   大鼓 石井保彦、小鼓 吉阪一郎
   太鼓 前川光長、笛 森田保美

泰山府君(たいざんぷくん)は8年前に国立能楽堂開場25周年記念公演で、金剛永謹さんが演じられた際にも観ていまして、観能記をブログにも載せています。ブログにも書きましたが、現在は金剛流のみが演じる曲で、しかも昭和30年代に復曲したものだそうです。

同じシテの上演ですので大きく違う訳ではありませんで、事細かに舞台の様子を記しませんが、以前の記載で触れていなかったこと、今回新たに気付いたこと、さらには前回と今回での演出上の違いなど、いくつか記しておこうと思います。なお、前回の記載(鑑賞記初日月リンク)を併せてご参照いただけるとわかりやすいと思います。

まず後見が正先に桜立木台を出してきます。これは前回も記載した通りですが、台は角台の形です。あまり見慣れない形だったと記憶していますが、絵心もないので、どこがどうと記録をしていません。
続いて名宣笛、ワキの出になります。前回はワキ高安勝久さんが一人で登場し常座に進んで名ノリとなりましたが、今回はワキツレ二人を従えての登場で、ワキは正中まで出、ワキツレのうち太刀持ちは常座の少し奥あたりに太刀を持って控え、もう一人は橋掛り狂言座の少し前あたりに控えて、ワキの名乗りとなりました。

ワキの装束は烏帽子狩衣に白大口で高安勝久さんと同装ですが、狩衣は福王流らしく紺地のもの。
花が七日で散ってしまうのが惜しいので泰山府君の祭りを執り行って花の命を延ばそうと思うと述べて両手を合わせます。これに合わせてワキツレが立ち上がり、ワキはワキ座に進んで床几にかかり、ワキツレ二人は地謡座前に着座します。
このつづきはまた明日に

泰山府君のつづき

ワキ座で床几に腰を下ろしたワキが「有難や治まる御代の習とて」と謡い出し、ワキツレとの掛け合いで謡が進みます。前回はワキ一人でしたので、ワキがサシを謡い「花の命をのばへんと」から地謡となりましたが、ここはワキ、ワキツレ同吟です。
この謡の途中で幕が上がり、前シテが紅入唐織着流しの姿で橋掛りを進んできます。

「花の祭りを急ぐなり」とワキ、ワキツレが繰り返す謡いっぱいに常座まで出て、シテの一声。続いてサシ。半魚文庫さんのテキストでは「いざ桜われも散りなん一盛」から地謡が謡う形になっていますが、この部分もシテが続けて謡います。明治期の金剛流の本でもシテの謡になっていますので、もともと金剛ではこの形だったようです。

シテの詞からの展開は前回の記録通りですが、シテは「花一枝を手折らんと」で花を向き「忍び忍びに立ち寄れば」と三足花に近寄ります。ワキが「春宵一刻値千金」と謡い出して掛け合い。地謡の「中々木陰はくらからねば」でシテは左右を見ながら花に寄ると、直して「月の夜桜の影」と目付柱の方に月を見る形でやや面を上げ「あさまなり恥ずかしや」と大小前に下がって佇みます。

ロンギ、地謡が「実に有難やこの春の」と謡い出すと、大小前から常座に行き、後見座を向いて進んでシテ柱横で正に直します。「終には花の跡とはん」の謡でワキが立ち上がって床几を外し下居。
この後は以前記したものと同様に進み、地謡の「この春の望残れり」で正中で下居します。

この後、シテが「あまりに月のさやかにて・・・」と詞。地謡が「うれしや月も入りたりや」と謡い出すと片膝を立て、空をみるように目付柱の方を見上げると扇を胸に入れて立ち上がり「木の下闇に忍び寄り」と立木に寄って、一枝を外します。もともと一枝を差し込んである様子で、折り取るような所作をしますがキレイに外れたます。シテはこの枝をやや下がって見ると、常座側から回って正中で常座方を見、枝を振ると抱え込んで、そのまま中入となりました。
このつづきはまた明日に
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このブログの記載方法などについてまとめています(リンク) 初めてご来訪の方はお読みいただけると幸いです

泰山府君さらにつづき

シテが幕に入るとアイが立ち上がって常座に出、「やあやあ今のは確かに花の枝を折る音であったが・・・」と言い出します。様子を見てみようと、大小前に進み花の様子を見ると、一枝折られているのに気付きます。
桜町の中納言は花を寵愛され、花の時期には花のもとで日を暮れさせるほどの方だが、花の命が短いのを惜しみ、何とか花の命を延ばそうと今年は泰山府君の祭りをされている。花のまわりには花垣を作られているが、この花垣が壊された様子もなし、足跡もないのに花が折られているのは合点のいかぬ事だと不思議がります。
ともかくも子細を申し上げようと言って、正中に出て正座しワキに言上します。

アイとワキとの問答で、アイは花垣もそのままに花が折られているのは不思議なことだと言い、泰山府君の祭りをしていることもあり、もしや天人が下って花を折ったのではないかと述べます。これを受けて、ワキが祈念しようと言い、アイが心得申して候と答えて狂言座に下がります。

アイの茂山良暢さんは、今は亡き忠三郎さんの長男。だいぶん遅くに生まれたお子さんのようで、まだ三十代前半のお若い狂言師です。いかにも関西の方というアクセントで、京都で能を観ているとしみじみ感じたところです。

アイが下がった後は出端の囃子になりますが、ここでちょっと間があったようで、当日のメモにも「妙な間があって・・・」と書いてありました。

さて出端で登場してきた後シテ泰山府君は、黒頭に唐冠、緑地の袷狩衣を衣紋着けにし半切をつけています。一ノ松に立って「そもそもこれは 五道の冥官 泰山府君なり」と謡い、「我人間の定相を守り・・・」と語ります。
「よくよく思えば道理道理」と片ユウケンし開キ。舞台に進んで常座からワキ正へと出ます。
このつづき、もう一日明日に
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泰山府君もう一日のつづき

「かかる例もある花を 手折れる者は何者ぞ」と左の袖を巻き、直して四拍子開キ。
「天人がこの花折りつるか」と左の袖を素早く巻いて下がり、地謡が受けて、シテは目付柱に向かい角トリ。左に回って正中から幕を向き「何ぞ偸盗の雲の上」と左の袖を被きます。
地謡の「天つ乙女の羽衣の・・・」で幕が上がり、シテは橋掛りへ進みツレが幕前にと出ます。ツレは白大口に紫の長絹、天冠を着け桜の一枝を持っての登場です。前回の鑑賞記の際とは装束が違います。
一ノ松に進んだシテは招き扇、向き直って舞台に戻りワキ正に経ちます。ツレが二ノ松に進み、シテは「かざしの花のたまたまなるに」とワキ正からツレを見込みます。
地謡となり、シテは笛座前で床几にかかり、ツレは袖の露を取って舞台に進み「天人忽ち現れたり」と大小前にて答拝して、天女ノ舞です。

天女ノ舞を舞上げたツレはシカケ開キ、謡に合わせて舞いつつ常座へと廻り正先へ進みます。「花を慕い行けば」と花を下ろしつつ正先の作り物に寄ります。
するとシテが「天上にてこそ栄花の桜」と謡い、ツレはワキ正から大小前へ進み、シテが立ち上がります。
シテがツレに寄り添う形で正先へ出、ツレが枝を立木台に戻します。

シテが小廻りして両袖を巻き上げ、左右を見つつ出ると舞働。ツレは笛座前に控えます。舞働の後も、前回の鑑賞記と同様に舞台を廻りつつ舞いますが、「嵐を防ぎ雨を漏らさず」の謡に、花に寄って両袖を掛けて守る形。下がって左袖を広げて正先に出て巻き上げ、さらに右袖も巻き上げて常座へと進みます。
「七日に限る桜の盛、三七日まで残りけり」の謡に、袖を直して留拍子を踏み、終曲となりました。

「事細かに舞台の様子を記しませんが・・・」と書いた割には妙に細かく所作を書きましたが、前回の記録と比べてみると、前回書き洩れたのか、けっこう違いがありまして、ついつい細かくなりました。
なお囃子の皆さんは、あまり東京では見かけない方々なので、お名前と流儀をあらためて記載しておきます。
大鼓 石井保彦 石井流、小鼓 吉阪一郎 大倉流、太鼓 前川光長 金春流、笛 森田保美 森田流。
(64分:当日の上演時間をおおよそで記しておきます)
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