能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

紅葉狩 鬼揃 観世銕之丞(下掛宝生流能の会)

観世流 宝生能楽堂 2016.08.10
 シテ 観世銕之丞
  ツレ 川口晃平 谷本健吾 味方玄 浦田保親 観世淳夫
  ワキ 宝生欣哉
  ワキツレ 大日向寛 舘田善博 森常太郎 殿田謙吉
  アイ 山本則秀 山本則重
   大鼓 國川純、小鼓 曾和博朗
   太鼓 観世元伯、笛 杉市和

かれこれ一年近く前の話になってしまったのですが、下掛宝生流能の会を観に行きまして、その際のメモが残してありますので、簡単ですがメモをもとに書き起こしておこうと思います。

下掛宝生流能の会は2013年3月に第一回公演として檀風を上演、昨年の会は三年振りに第二回として催されたものです。昨年は2月に下掛宝生流宗家の宝生閑さんが急逝され、そうした中での開催でしたが、大蛇の仕舞があり、ワキ方の皆さんだけによる鷺の連吟、地謡をワキ方が勤める形での梅若玄祥さんの遊行柳の仕舞、などワキ方の会ならではの番組でした。
大蛇もなかなか上演されない稀曲で、仕舞を観たのも初めて。通常、下掛宝生流ではワキのみが仕舞を舞う形らしいのですが、今回はシテを片山九郎右衛門さんが勤め、ワキの宝生欣哉さんと大蛇退治の場面を立体的に見せて頂きました。

そして番組の最後がこの紅葉狩。観世流鬼揃の小書付ですが、実はクセの仕舞の部分をワキ宝生欣哉さんが舞うという、特別な演出です。
紅葉狩は、平成20年の秀麗会の際に本田布由樹さんが演じられたものの鑑賞記を載せています。あまり詳しくない記載ですし、金春流と観世流というシテ方の違いもありますが、何かの参考ということで、併せてご参照いただければと思います。
鑑賞記初日月リンク
舞台の様子は明日から記載します
*** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** ***
このブログの記載方法などについてまとめています(リンク) 初めてご来訪の方はお読みいただけると幸いです
スポンサーサイト

紅葉狩のつづき

舞台上、まずは後見が一畳台を出し大小前に据えます。続いて濃茶の引廻しの紅葉山を持ち出し、台上右端に据えて後見が下がります。
次第が奏されてシテ、ツレの出。シテのみが文様のある色大口、ツレ五人は緋大口で、何れも唐織打掛。シテを先頭に舞台に進み、舞台中央に二列に並ぶと向き合って次第を謡います。ともに出た美男のアイ女は狂言座に控えます。当日のメモだと杉市和さんの差指が独特で印象深いと感じたようです。あまり舞台上で拝見する機会はないのですが、東京の森田流の方々とはかなり違った印象を受けます。

シテの名乗り、シテ・ツレの謡、下歌、上歌と謡い続けて、上歌の途中アシライでシテを先頭に雁行の形に並び道行の態。
「四方の梢を眺めて暫く休み給へや」の謡に、一同は地謡座前に一列に並んで向き直り、紅葉狩の場所に着いた様子となります。シテはワキ座でやや階の方を向いて床几に腰を下ろし、ツレはシテの横から紅葉山の間に並んで下居します。
アイの女が進み出て触れ、山の前に着座すると笛のヒシギ、一声でワキ一行の登場です。

ワキ平維茂は白大口に長絹肩脱ぎ、右手に弓、左手に矢を携え、梨子打烏帽子に白鉢巻の凛々しい姿。ワキツレ従者は素袍上下に太刀を捧げ、勢子三人は茶の素袍を肩脱ぎに、右手に勢子竿を持っての登場です。
一ノ松でワキサシ、狩場の景色が面白いと謡うと、ワキツレがこれを受けて、駒の足並が勇むと謡い、ワキはシテ柱近くまで進んでから一ノ松まで下がりキメ。
続く上歌の最後でワキはゆっくりと一ノ松からシテ柱近くまで出「いかに誰かある」と言って振り返ります。ワキツレ一同が下居し「御前に候」と答えると、ワキは山陰に人影が見えるので見てくるようにと命じます。
ワキツレが立ち上がり、ワキと入れ違いに常座に出てアイと問答。人影は誰か、と問いますが、アイは名を答えません。ワキツレは立ち戻って一ノ松に下居、人影は酒宴の様子だが、名を尋ねても名乗らないと言上します。
さてこのつづきはまた明日に
*** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** ***
このブログの記載方法などについてまとめています(リンク) 初めてご来訪の方はお読みいただけると幸いです

紅葉狩さらにつづき

ワキは、誰とも思い至らないが、ともかくも乗馬のまま通ることは拙かろうと言い、地謡「馬よりおりて沓をぬぎ」に、弓を右手に取って従者に弓矢をともに渡し、一行は馬を下りた態で舞台に入ると、ワキが常座に立ちます。

シテ、ワキの問答になり、シテは宴に立ち寄るようにと勧めますが、ワキは「思いも寄らぬこと」と言い「さらぬやうにて過ぎ行けば」と角に出ます。しかしシテが「あら情なの御事や」と声をかけると立ち止まり、シテも立ち上がって地謡で正中へ。
「恥ずかしながらも袂に縋り」の謡に、シテはワキに寄って袂引く形。続く地謡に立ち位置を入れ替え、ワキはワキ座に、シテは常座に進み、さらにシテが正中まで出ると、ワキは二、三足下がって下居。シテも正中に下居して、宴席に着いた形となります。

地のクリ、シテのサシから、クセに続いていきますが、冒頭に書いたとおり今回はクセをワキが舞うという特別な演出。クセ前の地謡「胸うち騒ぐばかりなり」でワキがユウケンし、シテはワキに向き合います。
「さなきだに人心」とクセの詞章がはじまり、ワキが扇を閉じると、ツレ一人が扇を広げて立ち上がり、ワキに寄って酌をします。シテは常座で床几に腰を下ろし「思ひしかども盃に」でツレ二人が立ち上がります。先に酌をしたツレが座に戻ると、入れ替えに二人は山の両側からワキを見る形に立ちます。
「道は様々多けれど」の謡に、ツレ二人が足拍子を踏み、ワキが立ち上がると「殊に飲酒を破りなば」と正中に出、さらにツレを伴って角へと進みます。「乱れ心の花鬘」と左に回り、正へと進むとサシ込み開キ「類ひ嵐の山櫻」でツレが足拍子を踏むとワキは開キ、扇広げて打込「よしや思へばこれとても」の上げ端をワキが謡って上扇。ワキのみ大左右、正先に出て「かかる折しも道の辺の」と開キます。
ツレが続いてサシ込み開キ、ワキは目付柱から常座へと回り、ツレの後を回って山の前へ。「人の心も白雲の」でツレが出て扇カザシて左へ回り、ワキはワキ座へ、ツレ二人は左右して下がり、代わって残るツレ二人が立ち上がります。
さてこのつづきはまた明日に
*** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** ***
このブログの記載方法などについてまとめています(リンク) 初めてご来訪の方はお読みいただけると幸いです

紅葉狩さらにさらにつづき

クセの終わり「月の盃さす袖も」で新たに立ったツレ二人がサシ込み開キ、扇を閉じ笛座の方を向いてサシて「堪へず紅葉」の謡から中ノ舞、相舞となります。

二人で中ノ舞を舞いますが、初段のヲロシの途中でシテが扇を広げて立ち上がり大小前に進みます。ここからツレが下がってシテの舞に。さらに二段のヲロシでワキが寝入った形となります。シテは寝入ったかどうか確かめるようにワキに寄り、舞は急調となってシテワカ「堪へす紅葉青苔の地」と謡って常座で上扇。
さらに地謡「涼風暮れゆく空に」と雲扇。台上に上り「物凄しき 山陰に」と抱え扇して台を降り、ワキに向いて開キ。
「夢ばし覚まし給ふなよ」の謡にシテは紅葉山に中入、ツレも立って来序にて幕に入ります。

整理すると、五人のツレのうち…おそらくは淳夫さんと思うのですが、一人が立って酌をし、ワキは残るツレ四人のうち二人と連れだってクセを舞う。クセの後段でワキはワキ座に下がり、二人のツレも下がると代わって残る二人のツレが立ち上がり、クセの終わりから中ノ舞初段ヲロシまでを舞う。初段ヲロシの途中でツレ二人が下がってシテの舞となり、舞上げて山に中入りするという展開です。

さてツレが来序で幕に入ってしまうと、囃子は狂言来序に代わり、括り袴に太刀を持ったアイの末社が登場してきます。末社は平維茂が信濃の国、戸隠山で若い女、実は鬼神に酒宴に誘われて酔い臥してしまったが、八幡神がこれを知り急ぎ告げ知らせよとのことであると言い、舞台を一回りして戸隠山にやってきます。
さらに角に出て、ワキが寝入っているのを見つけ、女が実は鬼であることを告げると、八幡宮より授けられた太刀をワキの前に置き、早く目を覚ませと足拍子を踏んで退場します。
さてこのつづきはまた明日に
*** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** ***
このブログの記載方法などについてまとめています(リンク) 初めてご来訪の方はお読みいただけると幸いです

紅葉狩またつづき

ワキは目を覚まし「あら浅ましや我ながら」と夢のお告げを受けたことを謡い出し、地謡が受けると、太刀を捧げて後を向き、ワキの後見が手伝って烏帽子を外し白鉢巻きの姿に変わります。

地謡は「不思議や今まで在りつる女」と大ノリの謡に変わり、ワキが紅葉山の方を向くと、幕が上がって後ツレが衣を被き橋掛りを進んできます。「とりどり化生の姿を現し」の詞章通り、鬼女達が現れてきたという形。
続く「或は巌に火焔を放ち」で、シテも長袴に衣を被いた姿で山から姿を現し、紅葉山の横に立ちます。ツレ五人は橋掛りを進み、うち二人が舞台に入って山の左右に立ちます。残る三人は橋掛りに拡がって並び「その丈一丈の鬼神の」と、シテともどもに衣を外して鬼女の姿を現します。シテは黒頭、ツレ五人は赤頭の姿です。

「面を向くべき様ぞなき」の地謡から舞働きとなり、五人は橋掛りに出て鬼神の力を示します。
ワキの謡「維茂少しも騒がずして」を聞いて地謡が受け、「南無や八幡大菩薩と 心に念じ」の謡にワキは太刀を抜いて立ち上がり、シテと戦う形になります。
シテ・ワキの戦いは直ぐに決着がつき「剣に恐れて巌へ登るを」でシテは退場。
シテが斬り伏せられた態で舞台に残る方が、一般的な演出に思いますが、この日はシテが退場し、ワキは常座で剣を肩に担って留拍子を踏みました。

鬼揃の小書で変わった部分と、今回のワキ方の会ということで特別な演出となった部分と、両方あると思いますが、常の紅葉狩とはまた違った面白さのある一番でした。

なお最後に東岸居士の一節「万法皆一如なる実相の門に入ろうよ」が謡われました。附祝言の位置ですが、番組には「追加」とあります。追善能などで故人を偲んで謡われる場合、附祝言ではなく追加とし、海士や融、そしてこの東岸居士などが謡われるようです。
昨年2月に逝去された宝生閑宗家を偲んでの一節でした。
(上演時間は85分前後でしたがメモには正確な時刻の記載が残っていませんでした)
*** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** ***
このブログの記載方法などについてまとめています(リンク) 初めてご来訪の方はお読みいただけると幸いです

 | HOME | 

カレンダー

« | 2017-07 | »
S M T W T F S
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

月ごとに

カテゴリー

カウンター


最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

プロフィールなど

ZAGZAG

頑張らない、をモットーに淡々と行こうと思っています。

FC2Ad