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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

放下僧のつづき

この曲、どうも不思議なところが多く、ツレの語というのも本当に珍しい。私の知る限りでは、本曲の他は、観世流のみの曲「楠露(くすのつゆ)」くらいしか見あたりません。

しかもこの語、唐土の話として、母を虎に食われて敵を討とうとし、虎に似た大石を虎と思って射たところ巌に矢が立ち血が流れたという話をひき、「孝の心深きにより 堅き石にも矢の立つ」という孝行譚に仕上げているのですが、どうも変なのです。
石を虎と思って射たら矢が刺さったという話は、史記の李将軍列伝にあり、前漢の将軍李広の事績として知られていますが、母親の話は出てきませんし、この「石に立つ矢」というのは、「念力岩を通す」と同様、心を込めて事を行えばどんなことでも成就する意味とするのが普通です。
また、李広の母が虎に食われ、李広が大石を虎と思って射た、という話は史記ではなく西京雑記などにみられるようですが、これもまた心を込めて行えば金石をも貫き通すという意味で書かれているようです。
どこでどうしてこの話を孝行譚に仕上げたのか、不思議な話です。

ともかくも、ツレが語る妙な孝行譚を聞いて、シテは「面白き事を引いて承り候ものかな」と感心し、諸共に思い立とうと、あっさり敵討ちを承知してしまいます。
そこでどうやって敵に近付こうかという相談になりますが、ツレは、このごろ放下が持て囃されているので、自分が放下に、兄は放下僧になり、敵の利根が禅法を好むので禅法を語ると良いだろうと提案します。

「いざいざさらば」と立ち上がり、地謡を聞き「命の限り兄弟は 我が心をや頼むらん」あたりで向き合うと、シテは常座へ、ツレは一度地謡座の前に行き、繰り返す「我が心をや頼むらん」でシテが先に立ち、ツレが後から続いて中入となります。

二人が幕に入ると直ぐに次第が奏されてワキの出。
白と紺の段熨斗目に白大口、黒系の掛け素袍、男笠を被ってワキが出、続いてアイ信俊の下人が、格子柄の縞熨斗目に半袴、肩衣で太刀を持ち、ワキが常座に立つと後ろに控えます。
ワキは常座で斜め後ろを向いて次第。
謡い終えると笠を外し正面に向き直って、相模国の住人利根の信俊と名乗り、うち続き夢見が悪いので瀬戸の三島へ参ろうと思う旨を述べます。
さてこのつづきはまた明日に
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