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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

調伏曽我をめぐって

鑑賞記、この項の初日に、曽我物は現在演じられているものは四曲だが廃曲になったものもあるといったことを書きました。
詞章などが伝わっている限りでは、この四曲の他に切兼曽我、元服曽我、伏木曽我などが知られています。切兼曽我は金剛流のみの曲でしたが明治以降に廃曲になったようで、梅若実日記には明治14年に金剛唯一が演じた記録があります。
元服曽我はかつて宝生、金剛、喜多の三流にあり廃曲となりましたが、現在でも喜多流のみ参考曲としているようです。最後の伏木曽我は600年ほど前に絶えてしまった曲ですが、最近、観世流の加藤眞悟さんが復曲されたようです。
このほかにも、長い能楽の歴史の中では、曽我物語にまつわる能が作られていたのだろうと想像するところです。

ところで、曽我物の鑑賞記は今回を含めて5回書いていますが、いずれも宝生流です。宝生流は五雲会にほぼ毎年のように小袖曽我か夜討曽我が出るなど、曽我物の上演が多いような気がします。観世流では小袖曽我くらいで、あまり曽我物を見かけないように思いますが・・・

ところでこの調伏曽我、国立能楽堂での記録を見ると、前回は金剛流宗家永謹さんのシテで平成23年3月24日に上演されています。
今回の観能の際に国立能楽堂で久しぶりにお目にかかった方から、まさかこの時期にやらないだろうと思ったのだが公演があったと後で聞いてビックリしたというお話を伺いました。「まさかこの時期」というわけで、あの東日本大震災の直後のことです。
24日は木曜日で、私はこのチケットは取っていませんでしたが、実は13日の某会のチケットを持っていました。こちらこそ「まさかこの時期に・・・」と思ったのですが、なんと公演があったという話を後日知り、本当に驚きました。
当時は常磐線も止まってしまい、常磐高速も通行制限がかかった状態で、とても観に行けるような状況ではありません。それどころか、自宅は瓦が全部落ちてしまい、会社も営業継続のため停電の中で復旧作業に取り組んでいる状況でしたので、観能の件はすっかり意識にはありませんでした。

公演が中止になったわけではないし、このチケットのことを思い出したのはしばらくして震災の動揺がおさまってからでしたので、払戻しを交渉しようなどという気にもなりませんでしたが、「ああ公演したのかァ・・・」となんだか割り切れない気持になった記憶があります。
公演する方はそれまでの準備や経費もありましょうし、また御覧になれる方たちは楽しみしておられたでしょうから、上演されたこと自体は良かったと、頭では理解しているつもりでした。が、自分が被災者になってみると、なんだか忘れ去られているようで、割り切れなかった気持が、今でも時々思い出されます。

この項終わり
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このブログの記載方法などについてまとめています(リンク) 初めてご来訪の方はお読みいただけると幸いです
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