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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

藍染川さらにつづき

文をしたためた神主の妻は、左近尉に神主からの返事と偽って文を渡すとともに、都の女は子供を連れているかと尋ねます。左近尉が連れていると答えると、神主殿はもってのほかのご機嫌にて、二人ともこの在所から追い払うよう命じられたと、偽りを言います。
これに驚いた左近尉は、さっそく追い出すことにすると答えて舞台に戻り、シテに神主からの返事を渡して正中に座します。

シテは返事に喜んで早速に文を広げて読み上げます。しかし偽りの文には、対面は出来ないとあり、子の梅千代にあてては、親ありとも思うな、はやはや都に帰るようにと書かれています。シテは「これは夢かや浅ましや」と謡いつつ、文を下ろして扇持つ右の手でシオリます。

この様子に子方が声をかけ、シテ・子方が向き合います。子方は母に嘆かないようにと言います。しかしシテは、神主の自分への心変わりを嘆いているのではない、梅千代を父に見せれば家をも譲り一跡を継がせてくれただろう。それが叶わずみなし子となってしまうことを嘆いているのだ、と謡います。

中司さんの解説にもあるのですが、この神主は左近尉とシテのやり取りにあるように、本曲では在地領主として描かれており、この所領の一部を梅千代に継がせて欲しいという母の願が背景にあるようです。
後場のワキの謡に出てきますが、シテの女は一条今出川の留守もり梅壺の侍従、神主は都に出ていたときは中務菅原の頼澄と名乗っていたとあります。すれば神主は道真所縁の在地領主だったのかも知れません。
神主の妻の怒りも、単に契を結んだ女が尋ねてきたというだけではなく、その子に所領を分けて欲しいという願が文に書かれていたから、と考えると烈しい怒りも分かるような気がします。

子方は「よしなうそれも力無し、今さら何と嘆くべき」と達観した謡で返し地謡に。
向き合っていた二人ですが、シテはワキ正に向き直り子方も続いて向き直ります。地謡が「残し置くべき悲しさよ」と謡い納めるに合わせてシテは左手にてシオリ。左近尉がシテに向き直り、傷はしくは思うが神主殿よりここには置くなと言われているので、急ぎいづ方へも出て行って欲しいと言います。
さてこのつづきはまた明日に
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