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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

国栖(能を知る会東京公演)

観世流 国立能楽堂 2019.06.16
 シテ 中森貫太
  ツレ姥 佐久間二郎、天女 中森健之介、子方王 富坂唐
  ワキ 殿田謙吉
  ワキツレ 御厨誠吾 平木豊男
  アイ 竹山悠樹 月崎晴夫
   大鼓 柿原正和、小鼓 幸正昭
   太鼓 梶谷英樹、笛 松田弘之

国栖は七年ほど前に、観世銕之丞さんと友枝昭世さんの鑑賞記を書いて以来です。その際にも書いていますが、本曲について少しばかり。
銕之丞さんの鑑賞記月リンク
友枝さんの鑑賞記月リンク

本曲では、大友皇子に追われて天武天皇が吉野の山中に逃れ、国栖の地で老夫婦に出会い助けられるのが前場。後場では天女と蔵王権現が姿を現し、天武天皇の御代を寿ぐという展開になっています。
史上「壬申の乱」として知られる、大海人皇子、後の天武天皇と、大友皇子の争いをもとに作られた一曲で、子方が演じる浄見原天皇が吉野の山深くに落ち延び、国栖の里で漁翁と老嫗に助けられるところから始まります。子方に従って登場したワキ一行は、子方を浄見原天皇・・・流儀によって清見原天皇などと書かれますが・・・であると謡い、御伯父(オンハクブ)大友皇子ないし大伴皇子に襲われたと続けます。浄見原天皇は飛鳥浄御原宮に居した天武天皇の別名ですし、大友皇子に襲われたと明らかにしていますが、なぜかこの部分、観世流では「やごとなき御方」とし「御伯父何某の連に襲はれ給ひ」と書かれています。さらに続く詞章も他流では「落ち行く道の果てまでも」とあるところ「分け行く道の果てまでも」とあるなど、少なからず詞章に違いがあります。

七年ほど前の銕仙会では「戦時中に改変」云々と解説されていましたが、とりあえず遡れる一番古いところで明治十七年に檜常之介が出版した観世流稽古本、正徳六年観世太夫章句の真本をもとに観世清孝の校合を得て出版したとあるもの、これにもワキの謡には「やことなき御方にて」「御伯父なにかしの連におそはれ給ひ」とあります。どうも、これを見るとこの改編は少なくとも明治以前に遡るようです。とは言え私も研究者でもありませんし、これ以上どうこう書きませんが、どういう次第でこういう改編がされたのか、興味を禁じ得ないところです。

ともかくも、本曲が古の天皇にまつわるものであることを重くみたのか、観世流では江戸後期ないし明治に曲の見直しが行われたのでしょう。後段の天女ノ舞も観世流のみ楽とする場合があり、今回の公演はまさにその楽の形でした。
なかなかに面白い一曲ですが、舞台の様子は明日から書いていこうと思います
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