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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

羅生門さらにさらにつづき

地謡は大ノリとなり「その時馬を乗り放し・・・」と謡い続けます。
ワキは謡に合わせる形で、一度一ノ松へ向かうと改めて舞台に進み「羅生門の石壇に上がり」で常座から台上へ。「しるしの札を取り出し」と札を右手で掲げます。
「壇上に立て置き帰らんとすれば」と台を降りようとしますが「うしろより兜の錣をつかんで引き留めければ」の謡に引廻しが少し下ろされ、シテが姿を現してワキの黒頭を掴みます。
「すはや鬼神と太刀抜きもって 斬らんとするに」でワキは太刀を抜きますが、シテが「取りたる兜の緒を引きちぎって」と引廻しを下ろして出、ワキの黒頭を引き取ります。ワキは「おぼえず壇より飛びおりたり」と台横へ。

「かくて鬼神は怒をなして 取りたる兜をかっぱと投げ捨て」で、シテは宮の後ろから出て黒頭を左手に持ち投げます。「その丈衡門の軒に等しく両眼月日のごとくにて綱をにらんで立ったりけり」と地謡が謡い、シテは台を飛び降り働になります。
シテ、ワキが闘う様を見せ、働の最後でシテは台上に戻ります。

ワキが「綱は騒がず太刀さしかざし」と謡い、地謡が続けます。シテは台を降り、ワキとの戦いを続けますが、「飛び違いちょうどきる」でワキが斬る形。「切られて組みつくを払ふ剱に腕打ち落され ひるむと見えしが脇築地のぼり」と続く謡に、シテは台を踏みつつそのまま幕に走り込みます。
「虚空をさしてあがりけるを 慕ひゆけども」と、ワキはシテの姿を二ノ松まで追いますが、舞台に戻ると角で構え、最後は「綱は名をこそ あげにけれ」の謡に、太刀を肩に担って留拍子を踏み、終曲となりました。
(51分:当日の上演時間をおおよそで記しておきます)

ワキ方のための曲と言っても良い構成ですが、事前に頂いた解説にはワキが引き立つように作られた曲だが、それでいてシテを引き立てるというワキの本分と両立させるのが難しく、ワキ方の秘曲として非常に大事にされてきたとあり、なるほどと思う一番でした。
また下掛宝生流では、宗家ないし宗家に準ずる方でないと、羅生門のワキを勤めることができなかったそうですが、今回は門下を代表する形で殿田謙吉さんが勤められたとのことでした。

大変面白く拝見しましたが、一方で私個人としては、複式夢幻能の僧ワキのようなワキのあり方もたいへん好きです。
同じ下掛宝生流の安田登さんが書かれた本の話も以前書きましたが、幽霊として現れるシテに昔語りを勧め、シテを成仏に導くワキのあり方は、世界の演劇の中でも希有の存在ではないかと思います。
この数年、カウンセリングについて学んでいますが、カウンセラーに強調される「傾聴の姿勢」は、ワキのあり方そのもののように感じられます。いずれ機会を見てこの辺りの話も書いてみようと思います。
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このブログの記載方法などについてまとめています(リンク) 初めてご来訪の方はお読みいただけると幸いです
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