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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

藍染川のつづき

左近尉は、神主を尋ねて都から女性旅人がやって来て神主殿に手紙を渡してほしいと言っている旨を告げ、橋掛りを進んでアイ神主の妻に文を渡して一ノ松に戻ります。妻は神主のお目にかけようと言い、左近尉にしばらく控えているように言って、文をもって常座に出ます。これを受けて左近尉は下がって鏡板にクツロギます。

妻は常座で文を読みますが、都の女が梅千世という子まで連れて下って来たのは「腹立ちや腹立ちや」と怒り、文を引き裂いて、返事は「妾が書いてやろうと存ずる」と言い、その場で何やら文を書きます。
書き上げると妻は立ち上がり、橋掛りに入って二ノ松あたりから左近尉を呼びます。左近尉に文を渡すと、神主殿はいたくお腹立ちなので都からの女を追い出すようにと言い、女がこの在所に留まるようなら左近尉の科であると神主が仰ったと言い放ちます。
左近尉が驚いて承ると、アイ神主の妻は急いで追い出すようにと言い捨てて退場します。
いかにも憎々しげな様子を見せるあたり、萬斎さんの技量かと思います。が、それにつけても妻の立場を考えてみると、夫が都に出ている間に女を作り、あまつさえ子供まで作り、その子供におそらくは財産を分けて欲しいという趣旨で女がやって来たとすれば、確かに怒るのは当たり前とも思えます。このあたりは現代とは別の価値観の世界ということなのでしょう。

ところで、左近尉とアイとのやり取り自体は昨年と変わるものではありませんが、昨年の形では二ノ松あたりが神主の館の入り口の設定で、文を受け取ったアイはその場で文を読み、さらに後ろを向いて返事の文をしたためます。
一方、今回の演出では、神主の館の入り口は同じく二ノ松あたりの設定ですが、ここで文を受け取ったアイは常座にと進みました。おそらくはここで場面設定が変わり、それまでとは逆に舞台の方が神主の館となり、その入り口近くの常座でアイが文をしたためて、ふたたび入り口の設定の二ノ松に戻り、そこから外に向かって左近尉を呼び出す形になったと思います。
幕も舞台装置もないままに自在に設定を変えてしまうところが実に能らしいところと思いますが、観ていては特段の違和感もなく、素直に場面設定を受け入れてしまったことに、あとになってみると驚きを感じました。
このつづきはまた明日に
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このブログの記載方法などについてまとめています(リンク) 初めてご来訪の方はお読みいただけると幸いです
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