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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

夜討曽我のつづき

夜討曽我自体が、観世流ではあまり上演されない曲であるうえに、小書十番斬は特殊演出で登場人物も一挙に増え稀にしか上演されません。鑑賞記を書くに当たっては夜討曽我の前提となる曽我物語や、十番斬をめぐるあれこれなど、書いておきたいところです。
しかしそうすると、先日の忠信の鑑賞記と同様、舞台の様子に入るまでにまだまだ数日かかってしまいそうです。そこでとりあえず本曲の発端となる事件の概要を簡単に記し、続けて舞台の様子を書いた後、遡って曽我兄弟の敵討ちの話や、十番斬の話などを書いていこうと思います。

曽我十郎祐成、五郎時致の兄弟は、実父である故河津三郎祐泰を死に追いやった工藤祐経を討とうと、幼い頃から機会を窺ってきました。箱根寺に預けられていた弟五郎は、出家を嫌って出奔し元服して兄ともども敵討ちに向かうことを決意しますが、勝手な元服に怒った兄弟の母は五郎を勘当してしまいます。折りしも頼朝により富士の裾野での大規模な巻狩が催されることになり、祐経を討つ好機とみた兄弟は、忠臣である団三郎と鬼王の兄弟を従え巻狩に向かうことにします。十郎、五郎はまず母のもとに向かい、五郎の勘当を解いてもらいます。この場面は、別曲「小袖曽我」に描かれています。母のもとを立ち去った兄弟はいよいよ巻狩が行われる富士の裾野へとやって来ます。ここから本曲が始まります。

次第の囃子でツレ十郎が先に立ち、続いてシテ五郎、団三郎、鬼王の順で登場し、舞台に向き合って並びます。階に近いほうのワキ座側に十郎、目付柱側にシテ五郎。後座に近いほうはワキ座側に団三郎、目付柱側に鬼王が並ぶ形。
シテは士烏帽子を着け、紅入段厚板。大成版の装束付けでは白大口になっていますが浅黄の色大口、掛直垂、左手に弓、右手に矢を二筋。ツレ十郎もシテ同装。装束付けでは段厚板となっていますが紅入だったように思います。十郎には胸に文が見えます。団三郎と鬼王は無地熨斗目に素袍上下の姿。
次第で登場し次第謡の後、十郎が名ノリ。三名は下居して控えます。続くサシで三人が立ち、次の道行まで向き合って謡います。

道行を謡い終えると十郎が正面を向き、三人は下居して十郎の詞。
十郎は「いかに時致」と半身になってシテを向いて声を掛け、幕を打つように命じます。シテの「畏まって候」で、一同は立ち上がり、十郎はワキ座に、三人は後見座に一度クツロギます。
十郎がワキ座で床几に腰を下ろすと、シテが立って正中に出、団三郎、鬼王は後見座前で正面を向いて座します。
十郎が再び「いかに時致」と言い、シテは双手突キ礼で聞く形。十郎は、多くの幕が並んだ様子に頼朝の威光を感じ、その中に自分たちの幕の内ほど物さびたものはなかろうと述懐します。途中「君のご威光」あたりで階の先の方をみやって、うち並べた幕を見る心。「我等兄弟」からシテを見ての詞です。
シテはこれに答え、「さん候・・・」の後「さてかの」から体起こして十郎を見て詞。十郎の詞をはさみ「彼の祐経が事候よ」で両手広げて半立ちの形(腰引キ立テタ構エ)、自分は祐経のことを片時も忘れたことはないと十郎に言います。十郎が自分も忘れたことはないという言葉で腰を下ろし、十郎の、然るべく時を定めるようにという命を聞きます。
シテは今夜夜討ちしようと言い、十郎の「さらばそれに御定め候へ」で双手突キ礼の形で畏まり、十郎が「や」と声を出すと直します。十郎は故郷を出たときに、母に敵討ちのことを告げなかったことが心残りなので、鬼王か団三郎のいずれか一人に形見のものを持たせて故郷に帰したいと言い出します。この詞をシテ正面向いて下居のまま聞きます。
シテは十郎を向くと「げにこれは」と言い出し、一人と言えば承服しないだろうから二人ともに「御帰しあれかしと」と言いつつ双手突キ礼の形。
二人を呼べとの十郎の詞に、シテ「畏まって候」と言ってから体起こして立ち、後見座に近付いて団三郎、鬼王の二人に声をかけます。
さてこのつづきはまた明日に
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