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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

花月のつづき

アイは一度太鼓の前あたりまで出てから下がって橋掛りに向かい、花月を呼び出します。シテ花月は喝食の面に烏帽子を着け、左手に弓、右手には矢を持って正中まで進み出て、我が名を名乗り、その謂われを語ります。
「月は常住にして言ふに及ばず さて花(くゎ)の字をはと問へば、春は花、夏は瓜、秋は果、冬は火」と数え上げます。以前にも書いたように、この花月という能はシテ花月の様々な芸尽くしが見せ所で、この「くゎ」を数え上げることから既に芸のうち。

語り終えたシテに、目付まで進み出たアイとシテとのやり取りとなり、アイが「こしかたより」と謡い出して小歌になります。これまた以前にも書いたように、観世流ではこの「来し方より」をシテが謡います。どうも観世流以外は間狂言が謡い出すようですね。
小歌では、アイは一度目付へ出てからシテのところに戻り、シテの斜め前にアイが立って二人寄り添うような感じになります。二人して目付を向き、舞台を廻って正中に戻り、シテがアイを目付の方へ押し出すような形になります。

何度も書いていますが、この小歌の部分は男色趣味を匂わせるもので、どういう意味でここに入っているのかと前々から疑問に思っています。単に男色を表すためならば、少年であるシテ花月の方に、アイ門前の男が後から寄り添う形の方が素直だと思うのですが、ここの形は逆ですし、かつ小歌の最後でシテがアイを目付に押しやるという、不思議な形になっています。どうも男色を表すというよりも、男色趣味を風刺して芸にしているようなそんな感じがするのですが、本当はどうなのでしょうか。

ともかく、目付に押し放されたアイがよろよろと角で膝をつき、目付柱を見上げて「あら不思議や 花に目がある」と騒ぎ出します。花に目があると思えばこれは鶯で、花を散らしてしまうから、手に持つ弓矢で早く鶯を射てほしいとシテに求めます。
これをうけてシテが弓矢をつがえる弓の段になります。

狂言はともかく、能で弓矢をつがえる型は珍しいところですが、廣田さんの花月はすっきりした形で、喝食らしい雰囲気です。この弓の段では結局のところ矢を放つことはせず、「仏の戒め給ふ殺生戒をば破るまじ」と正中で弓矢を捨ててしまいますが、これを受けてアイが進み出て、自分が殺生を勧めるような誤ったことを言ってしまったと、悔いるようなことを述べて、次の曲舞へと導きました。この殺生を勧めた誤りというような詞章も、あまり聞いたことがなかったように思います。
実は昨日の「自然居士のお弟子に花月と申して」については、萬斎さんのアイでも聞いたというご連絡をいただきました。たしかに今日書いた「花」を数え上げる場面の後の、アイとシテのやり取りの詞章に「雲居寺に候ひしが」とありますから、辻褄は合いますね。

さてこのつづきもう一日明日に
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このブログの記載方法などについてまとめています(リンク) 初めてご来訪の方はお読みいただけると幸いです
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