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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

雪のつづき

ワキ僧が座に着くとシテの出になります。後見が作り物に寄って引廻しを下ろします。
中では浅葱の大口に、白練、白の長絹を着けたシテが床几にかかっています。雪を表す意味で白基調の装束ですが、当日いただいた解説には「袴だけは白一色ですと変化を欠きますので」とあります。大口と、長絹の胸の紐、露が浅葱で、しかも大口の色が長絹に透けています。雪も降り積むと青く見えることもあり、また氷になった部分は青く見えます。白一色としなかった色彩感覚には、自然をよく観ていた昔の日本人の感性が窺える感じがします。

姿を現したシテは、高く引き立てて「あら面白の雪の中やな」と謡い、続けて「暁梁王の園に入れば 雪群山に満てり 夜庾公(真ん中の文字は機種依存文字のため表示されない場合はご容赦ください。麻垂の中に臾を書いた字でユと読みます)が樓に上れば 月千里に明らかなり」と謡います。

この詩は和漢朗詠集におさめられた謝観の「雪の賦」だそうで、大変有名な朗詠なんだそうです。私、この方面は知識がないのでよく分かりませんが、藤原公任が編纂した和漢朗詠集の中でも大変好まれた様子。「漢の梁王の兎園から山々の雪を望み、庾亮(ユリョウ)が南楼に登って月を賞翫した故事にならって白々と照りわたる月を見る」とまあそんな詩です。枕草子にもこの詩への言及があるようです。ちなみに庾亮は三国時代に続く西晋末に生まれ、東晋の時代に政治家として活躍した人物です。(ユの字が表示されない場合はご容赦ください)

旅僧は不思議に思い、女の素性を尋ねますが、シテは「誰とはいかで白雪の 唯おのづから現れたり」と言い、ワキがさらに雪の精ではないかと問いかけても、「いやさればこそ我が姿 知らぬ迷を晴らし給へ」と、自分が何者であるかも分からず迷っており、この迷いを晴らしてくれるよう頼むわけです。

このあたりのやり取りは、別に難しいものではありませんが、不思議と趣があります。雪だからこそ自分自身も捉え難くて迷うのか、ちょっと考えさせられるところ。

ワキは女が雪の精である見抜き、仏の功徳を信じて「とくとく成道なり給へ」と諭します。これを受けてシテはワキに合掌し、さらに地謡の掛け合いの後クセの謡になります。

このつづきはまた明日に
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このブログの記載方法などについてまとめています(リンク) 初めてご来訪の方はお読みいただけると幸いです
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