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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

雪さらにつづき

シテの謡を地謡が受けると、シテは立ち上がって作り物を出、ワキを向いて思いを述べる形になってクセの謡に入ります。
クセは源氏物語の浮舟に出てくる匂宮の歌「峰の雪みぎはの氷踏み分けて 君にぞ惑ふ道は惑はず」を本歌としたのでしょう。

自らが何者であるのかも分からないという雪の精の迷いを象徴するのに、この歌を持ってきたのでしょうけれども、この歌は匂宮が浮舟に贈った恋の歌であるため、この引用は凡作の象徴でもある、とまあそんな評価もあるようです。クセは舞グセですが、短い詞章のため、上扇から大左右、打込開きと、極々基本的な型を続けるのみになります。

クセの終わりは「月にひるがへす花衣 実に廻雪の袖ならん」と謡われます。「廻雪の袖」は舞の意味で、雪が風に吹き上げられてきらめくような袖の動き、から「舞」が想起されるようですが、この曲自体が雪の精を登場させているので、その雪の精の舞は二重の意味で「廻雪の袖」となりましょう。

地謡の拍不合の謡「朝ほらけ」で序ノ舞となります。
廻雪の舞を眼前に現そうという次第ですが、この日は雪踏之拍子の小書きがついているため、序ノ舞が盤渉になります。
黄鐘で始まった後、途中から調子が盤渉に上がり、型も替の型になっていきます。

舞の途中で踏む足拍子は、雪踏の詞通りに、雪を踏むように音を立てません。上げた足をふわっと下ろすような感覚の拍子でした。

序ノ舞を舞上げるとキリ。「また消え消えとぞなりにける」の謡で作り物の中に下居した後、謡が終えて囃子だけとなり、立ち上がったシテが作り物を出て常座に佇む形で留。短い詞章にむしろ雪の消えるはかなさのようなものが感じられところでした。

小品であるが故に、大変良いできの曲だという評価と、凡作だという評価、いずれもがあるそうですが、こんな曲もまた能楽らしいよなあと思った次第。
初日に書いたように、この曲は金剛流にだけある曲ですが、作者は不詳だそうで、いつの成立かも分からないとか。雪そのもののような、とらえどころのない曲でもありました。
(55分:当日の上演時間をおおよそで記しておきます)
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