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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

砧さらにつづき

さてシテは何やら遠く物音がするのに気付き、ツレに問いかけます。ツレは里人の打つ砧の音であると答えます。
砧は布を打ち柔らかくして衣類を着やすくするために行われるものですが、この砧を打つ音にシテは昔からの言い伝えを思い出したと語ります。唐土の蘇武という人は胡国に捨て置かれて年月が経ったが、その妻子が蘇武の身を思って高楼に上り砧を打ったところその音が万里の彼方にいる蘇武に届いたという話です。
この話にちなみ、シテは砧を打って夫に思いを届けようとし、ツレも下賤の業とはいいながら妻の心が安らぐならと、二人砧を打つことにします。

「砧を拵へて参らせ候べし」でシテは後見座にクツロイで物着となり、ツレもそのまま後ろを向いて物着。いずれも襟をとめていた糸を外し、肩脱ぎの姿になります。この間に後見が正先に砧を出して、横向きに置きます。砧の作り物は観世ではワキ座前に置きました。喜多流では作り物を出さないようですが、それぞれ舞台の景色が違ってきますね。

シテは常座に出て「いざいざ砧うたんとて」と謡い出します。ツレと掛け合いの謡になりますが、観世ではこの掛け合いの「恨みの砧打つとかや」で二人が砧を挟んで対座し、砧を打つ形になります。しかしこの日の形ではツレはじっと座ったままで、次の地次第でもシテがサシ込み開きから、大小前へ進み、地謡とシテとの掛け合いで謡を進めながら、シテの所作が展開する形になっています。だいぶん演出が違います。

シテの引き立てた「宮漏高く立って風北にめぐり」の謡を、地謡が「蘇武が旅寝は北の国」と受け、ここでツレが立ち上がり笛座辺りまで下がってあらためて下居します。
シテは「これは東の空なれば」と地謡座の上方に空を見る形。「間遠の衣うとうよ」と砧を見やり、「古里の軒端の待つも心あれ」と謡って、サシ込み開キ、舞台を廻ってと抽象的な型を見せつつ、思いを深めるところです。
クセ前の「いざいざ衣うとうよ」でも砧を見やりますが、砧そのものには近づかずクセの謡い舞いへと続いていきます。砧を十分に意識して舞いつつ砧には寄らぬ演出に、むしろ思いが募る感じがして、金春流なりの解釈がうかがえる気がします。
このつづきはまた明日に
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このブログの記載方法などについてまとめています(リンク) 初めてご来訪の方はお読みいただけると幸いです
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