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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

文蔵のつづき

さて太郎冠者が何を食べたか聞きたくて仕方ない主人が、様々な食べ物を並べる部分、これもなかなかに興味深いもの。
家によって微妙に違うようですが、まずは昆布に山椒を巻いて梅干しで良い茶を飲んだかと問い、違うというので点心の類として、饂飩(うんどん)、ぬる麦、あつ麦、どうじゅ麦、饅頭と数え上げます。そのようなものではないという太郎冠者に、それでは羹の類かとして、砂糖羊羹、きょ羹、うんぜん羹、もんぜん羹、だいかん、しょうかんと数え上げます。

多くはどんな食べ物か想像もつきませんし、だいかん、しょうかんは羮にひっかけて大寒、小寒を持ち出したのでしょうか。ともかくこういう言葉遊びのような展開は聞いていても楽しいもの。

そしていよいよ主人が読む本の中にある物を食べたと太郎冠者が思い出し、主人が読み物を語ることになるわけです。

正中で床几にかかったシテが、ゆったりと語りはじめ、だんだんに調子を上げながら仕方を交えて語ります。
興が乗ったところで、突然語りをやめて「所をばし食らうてあるか」と主人が問いかけ、太郎冠者がその様な物ではないというのを何度か繰り返します。この落差が面白いところですね。

最後は「真田の与市が乳母親に文蔵と答うる」に、その文蔵を食ったと太郎冠者が言い、それは温糟粥のことと気付いたシテが、太郎冠者を叱って留めるわけですが、ばかばかしいと言えば、ばかばかしい落ちを、真面目な語り物の後に持ってくる展開が狂言らしいところですね。

語りの部分のみが上下姿で演じられることもある曲ですので、ある意味、狂言方の見せ所という曲ですが、私としては、だんだん調子の上がってくる語りと、突然に「所をばし食らうてあるか」と問う落差の面白さが大切に思えるところです。

扇丞さんは、この曲を重く扱っている感じで、全体の展開もゆったり目でした。語り物中心の重い曲ですし、そういう雰囲気は強く感じるところでしたが、もう少し語りの調子が上がっていった方が、より落差が強調されて面白かったのでは、と思った次第です。
(31分:当日の上演時間を記しておきます)
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このブログの記載方法などについてまとめています(リンク) 初めてご来訪の方はお読みいただけると幸いです
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