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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

知章のつづき

型通りの道行ですが「八重の潮路」と謡って海路を進む様子。謡の最後「浦なる関に着きにけり」でワキツレ二人がするすると舞台を横切って地謡前に進み着座します。
ワキは、何処とも知らぬ浦に舟が着いたと言い、人が来たならこの辺りの様子を聞こうなどと述べますが、追善のためか平知章と書かれ、様々に要文が記された卒塔婆を見つけます。正中に立って正先を眺め卒塔婆を見る形です。

知章というのは平家一門の誰なのだろうかなどと独白しているうちに幕が上がり、ワキが「あらいたわしや候」と述べてワキ座へ向かうと、シテが「のうのう御僧は何事を仰せ候ぞ」と呼び掛けます。直面で、白大口に段熨斗目、掛け素袍の姿です。
角当直隆さんは40歳を少し過ぎられたところか、玄祥さんの演能の際などにお姿を見かけたことはありますが、役をなさるのを拝見するのは初めてです。呼び掛けの声は良い雰囲気で、期待が高まるところ。

シテの問い掛けに、ワキはワキ座に立って、平知章と書かれた卒塔婆に弔いをしていると答えますが、これに対しシテは橋掛りを歩みつつ「げにげに遠国の人にてましませば、知ろし召さぬは御理。知章とは相国の三男、新中納言知盛のご子息にて候」と言います。

このやり取り、なんとなく収まりが良くありません。
実は喜多流の本を見ると、ワキはこの日の下掛り宝生流同様に「さん候、これなるしるしを見れば、平の知章と書かれて候ほどに、いたわしく思い逆縁ながら弔いを仕りこそ候え」と答えるのに対して、シテが「武蔵の守知章は・・・」と延べ始める形になっていまして「げにげに遠国の人 云々」のくだりがありません。知章の素性をめぐるやり取りがないわけです。
一方観世流の本では、シテの呼び掛けにワキが答える中に「平の知章と書かれて候。御一門の御中にて候やらんと・・・」とあって、先ほどの独白を繰り返す形で知章の素性を知らないないことを強調しています。そこでシテが「げにげに・・・」と言うのが納得いきます。
それぞれの本の形だと収まりが良いのですが、観世と下掛り宝生の組み合わせだと、このやりとりにいささか違和感を感じますね。

ともかくも知章が一ノ谷の合戦で亡くなり、今日がその命日のその月、その日にあたっていると述べながらシテは橋掛りを進んできます。
このつづきはまた明日に
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このブログの記載方法などについてまとめています(リンク) 初めてご来訪の方はお読みいただけると幸いです
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