能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

三山さらにつづき

宝生流の本ではクセの最後は「其名を憐みて跡弔はせ給へや」となっており、続いてシテが自分の名を名帳に入れてほしいとワキに頼みます。ワキが名帳に入れるために名を問うと、桂子と書いてほしいとシテが我が名を明かしていくやり取りがあって中入になります。これに対しクセの終わりでバサッと切って中入にしてしまったのは思い切った変更だったように思いますが、緊張感が高まる感じがします。
この宝生流と同様の形も大成版の謡本に記されているのは、初日に記した通りです。

中入でアイが再び登場し立ちシャベリ。このアイの詞章も、シテ方の謡本としては珍しいことですが、大成版には全文が記されています。三山の謂われを繰り返す形ですが、前場のシテの詞では万葉集第一にあるとのみ言及されていた歌について、天智天皇の歌「香具山は 畝傍を愛しと 耳成と 相争ひき」をひいて、香久山が夫、耳成山が妻の夫婦だった所に、香久山が畝傍山に心移りして争いになったと語られます。
万葉集からひいているのは長歌の最初の部分で、このあとは「神代より かくにあるらし 古も しかにあれこそ うつせみも 妻を争ふらしき」と続きますが、それはさておき、その争いが木々にも魂があって、桂の木と桜木とが柏木を中にして争ったとシャベった後、良忍聖を尋ねようと言って目付に出、ワキとの問答。ワキから桂子、桜子が人の名と聞いて驚きますが、ともかくも桂子の跡を弔うようにワキに勧めて型通り狂言座に下がります。

ワキの待謡は宝生の本とは違っていまして「耳成の山の桂子くれぐれと 山の桂子くれぐれと 頼みしままに弔ひの 御法の夜声更け行くや 嵐激しき気色かな 嵐激しき気色かな」と謡って一声で後ツレ桜子の登場になります。

紅入唐織脱下げに桜の小枝を肩に担い一ノ松に出て謡いますが、華やいだ若い女の印象です。ふと何十年か前に、津村先生のシテ、坂さんの亡き父君真次郎さんのツレで高砂を観たことを思い出しました。

ツレは畝傍山の桜子と名乗り、謡いつつ舞台に入り「嵐を退けて賜びたまへ」と常座に立ちます。この間に幕が上がり後シテが姿を現します。こちらは無紅唐織脱下げで、桂の枝を右肩に担っていますが、ツレが右の毛を垂らしているのに対し、シテは両方に後れ毛を垂らした形で、シテ・ツレの対比を強調している感じです。
このつづき、もう一日明日に
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