能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

通盛さらにつづき

話は戻りまして、シテ、ツレの二人は舟に座した形のまま、小宰相身投の子細を語り出します。二人同吟になるところは、型通りに向き合う形になるため、狭い舟の中ではいささか苦しい感じがするところです。

地謡の下歌「沈むべき身の心にや」で二人はシオリ、上歌「西はと問えば月の入る」でワキ柱方向、遠くに月を見る態。シテが正面、ツレがワキを向いて「涙もともに曇るらん」とシオリ、ツレは船中を地謡座の方へ進もうとしますが、シテが「乳母は泣く泣く取り附きて」と、小宰相の身投げを止めようとする乳母のように、ツレを遮る形になります。

「御衣の袖に取り付く」とツレの両袖にシテが手を掛けますが、ツレはこれを振り切って舟を下りて後見座へ。入水した形です。
シテも舟を下りるとワキの方に向いて下居、あらためて立ち上がると送り笛にて中入となりました。

以前の鑑賞記にも書きましたが、前場の上歌に「姥も頼もしや祖父はいふに及ばず」の句があり、詞章を尊重すれば前ツレは姥姿で出るべきということになりましょう。おそらくは、古い時代には前シテ尉、前ツレ姥として出、二人中入して、後場は通盛と小宰相に姿を変えて登場したのでしょうが、中入前の入水の悲劇を見せるのに若い女の姿の方が良いという判断なのか、あるいは二人ともに中入りして、後場に二人して登場してくるのが煩雑という判断なのか、前ツレは若い女の姿で出るのが現在の形になっているようです。
もっともこの日はツレは後見座にクツログだけでしたが、中入りする形もあり、これはまた演出をめぐって、色々と考えられた末のことだろうと想像します。

さて、シテの中入の後、後見が舟を下げると、アイが登場し小宰相入水の次第をシャベリます。石田さんらしいかっちりしたアイですが、問われるままに通盛と小宰相の馴れ初めからを語ります。
上西門院に仕えていた小宰相が、ある日女院の前に、手紙を落としてしまいました。手紙には一首の歌が添えられており、「わが恋は 細谷川のまろき橋 踏み返されて ぬるる袖かな」とあります。女院は小宰相が通盛から恋を打ち明けられつつ、一向に会おうとしないので、その恨みの文であろうと推察し、自ら筆をとって「ただ頼め 細谷川の丸木橋 ふみ返しては 落ちざらめやは」と返事を書き、これが縁となって二人が結ばれたという、平家物語巻九にある話を語ります。
さてこのつづき、もう一日明日に
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