能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

富士山もう一日のつづき

天女の出現を受けての地謡は、三百五十番のものと一句目「かかりければ富士の御嶽の雲晴れて」までは同じですが、その後が「まのあたりなるかくや姫の神体は現れたり げに有り難や神の代の 尽きぬ御影を現して 不老不死の仙薬を 漢かの勅使に与え給う げにあらたなる奇瑞かな」(いささか詞章が怪しいですが)と続き、この謡で両手に捧げ持った仙薬の箱をツレはワキに差し出して常座に戻り、天女ノ舞になります。

三百五十番だと地謡の短い謡の後、後シテが出端で出て「そもそもこれは 富士山に住んで悪魔を払い国土を守る 日の御子とは我が事なり」と謡い、漢朝の勅使がやって来て不死の薬を求めるので与えようと言って、地謡「神託新たに聞こえしかば 虚空に音楽聞こえつつ 姿も妙なるかくや姫の薬を勅使に与え給う ありがたや」で後ツレの天女舞となっています。
後ツレがどこで出てくるのかが分かりませんが、おそらくは「難波」と同様に出端でシテとともに出て、シテの謡の間は笛座か目付、ないしは一ノ松あたりに控えている形でしょうか。

この日の金剛の形では、天女ノ舞の後地謡、これは三百五十番の天女ノ舞の後の地謡とほぼ同じですが、これを聞きつつツレが大左右から雲扇して神の来迎を迎える形になり、早笛で後シテが登場します。

後シテは荒ぶる神、赤頭に大飛出、半切に袷狩衣の煌びやかな姿で勢いよく登場し、一ノ松で「そもそもこれは・・・」と、三百五十番の後シテの謡と同じ詞章をここで謡います。地謡が受けてシテは舞台に進み、舞台上で舞働。さらに地謡に合わせて力強い舞を見せます。ワキは「勅使は二神に御暇申し」で立ち上がってそのまま退場。ツレも「かくや姫は紫雲に乗じて」とワキにつづきます。シテは正中で面を切り正先に進むと両袖を巻き上げ、橋掛りに入って一ノ松から二ノ松と進み「虚空に上がらせ給いけり」と留拍子踏んで終曲となりました。スケールの大きな舞で、神の威勢を感じさせる力強い一番でした。

三百五十番の形では後シテが出端で出て楽を舞うことになっているので、荒ぶる神ではなく、おそらくは老体の神の形を想定しているのではないかと思います。こうした脇能も無い訳ではないのですが、なんとなくしっくりしない感じがします。富士山の神をどう性格付けるかにかかってくるのでしょうけれども、私としては、賀茂などと同様の、出端、天女ノ舞、早笛、舞働という荒ぶる神の構成の方がなんとなく収まりが良いかなと思っています。
(87分:当日の上演時間を記しておきます)
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