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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

したたかな男・・・磁石のつづき

さてアドの男は逃げたものの、追いかけてきたシテと正先で出くわします。
ここからが後半の見せ場ですね。


見付の男は、唐土と日本の境に磁石山(ジシャクセン)という山があり、自分はその山に住む磁石の精だと述べます。
そんなバカな話はないのですが、このあたりの飛躍が狂言の面白いところ。


アドは磁石の精だけに、シテの抜いた太刀に引き寄せられる風を装います。シテは太刀を抜いてアドを切ろうとしているわけですが、太刀をかざすと、アドは太刀を呑もうとする始末。
一方、太刀を隠すと、磁石の精の振りをしているアドは弱る風情を見せます。
なんどかこれを繰り返し、シテが太刀をすっかり鞘に収めてしまうと、アドは倒れて横になってしまいます。
則孝さんの倒れ方がまた見事で、これだけでも笑いを誘います。


アドの作戦なのですが、シテはこれに見事に引っかかり、最後は逆に太刀を取り上げられて、アドに追い込まれてしまうという構成です。


この手のすっぱものでは、悪事の露見したすっぱが追い込まれるという形が普通で、この磁石も基本は変わりませんが、それにつけてもアドの見付の男、やけに賢くえがかれています。
これだけ頭の利く人物設定も珍しいところで、すっぱに欺される純朴な人物といった設定の方が普通ですね。
この気の利いた男を則孝さんが好演していましたが、則直さんのシテもまた味のある悪人ぶり。楽しい舞台でした。


ところでこの磁石、古くはギシャクという題名だったようです。
お経に出てくる霊鷲山(リョウジュセン)、お釈迦様が法華経などを説法したとされる鷲の形をしたインドの山と伝えられていますが、この別名が耆闍崛山。
「ぎじゃくせん」あるいは「ぎじゃくつせん」などと読まれるようですが、こちらが山の名前の現地での発音を伝えていて、意味が鷲の山ということのようです。磁石山はこの耆闍崛山のパロディということですね。

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