能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

土蜘蛛さらにつづき

一声。後ワキ独武者は白大口に法被肩上げ白鉢巻きを締め、ワキツレ従者を従えて橋掛りに出て一セイ。
地謡の「崩せや崩せ 人々と」の謡のうちに立ち位置を変えて、ワキツレが先に舞台に入ってワキ座へ向かい、ワキは後から舞台に入って常座に立ちます。

地謡が大ノリで謡うに合わせて、ワキ、ワキツレは一度向き合ってから、ワキが角へ。ワキツレが笛座へと向かい、ワキはゆっくり舞台を廻ってワキ座に立ち、塚に立ち向かう形。
「鬼神の形は 顕れたり」との地謡で引廻しが下ろされ、赤頭に法被、半切の後シテが作り物の中で床几に腰を下ろした形で姿を現します。作り物には蜘蛛の巣のように紙テープ様のものが張られています。

シテが「汝知らずやわれ昔」と謡い出し、ワキ一同は太刀に手をかけて構える態。
独武者の謡から地謡となり、ワキ一同はゆっくりと塚に寄っていきます。
シテは「蜘蛛の精霊千筋の糸を」で、作り物の巣を破ってワキに巣糸を投げかけ、作り物から出ての舞働になります。

舞働からも、何度か巣糸を投げかけ、シテ、ワキの戦いが続きますが、ワキ一同がシテを取り囲み、シテが安座して切り伏せられた形。シテは切戸口から退場です。
ワキが常座に立って留拍子を踏み、終曲となりました。
(52分:当日の上演時間を記しておきます)

ところで、この能の土蜘蛛は平家物語剣の巻に出てくる、頼光の山蜘蛛退治の話が元になっているようです。剣の巻では、渡辺綱が鬼の手を斬った話に続いて、瘧病を煩っていた頼光のもとに身の丈七尺程の怪しい僧が現れたので膝丸をもって斬りつけたという話が出てきます。頼光の四天王が血の跡を追って北野の塚を見つけ、これを掘り崩したところ四尺ばかりの山蜘蛛が出てきたので絡め捕ったという話です。

平家物語には多くの異本があり、現在、出版されている多くのものは明石検校覚一が書き留めさせた覚一本を底本にしており、私も覚一本の一つである高野本を底本にした杉本圭三郎さんの訳注本を使っています。しかし覚一本には山蜘蛛退治の話が出てくる「剣の巻」は無く、巻十一に「剣」という章はあるのですが、これは草薙剣の話が書かれているだけにすぎません。

「剣の巻」は流布本などに見られるようですが、渡辺綱が鬼を斬った鬚切と頼光が土蜘蛛を斬った膝丸を中心に据え、草薙剣をはじめ剣をめぐる様々な話が書かれています。不思議な話が多いのですが、土蜘蛛だけでなく鉄輪の話もこの中に出てきます。
秘伝中の秘伝とされていたらしいのですが、平家物語の成立なども調べてみると興味深い物が多々有りそうです。
*** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** ***
このブログの記載方法などについてまとめています(リンク) 初めてご来訪の方はお読みいただけると幸いです
関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://zagzag.blog72.fc2.com/tb.php/1965-83723f17

 | HOME | 

カレンダー

« | 2017-11 | »
S M T W T F S
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -

月ごとに

カテゴリー

カウンター


最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

プロフィールなど

ZAGZAG

頑張らない、をモットーに淡々と行こうと思っています。

FC2Ad