能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

鉢木さらにさらにつづき

地謡が「捨人の為の鉢の木切るとても」と謡い出して、シテは立ち上がると扇を広げて常座へ。さらに鉢木に寄ると「雪うち払いて見れば」と広げた扇を上下、左右に払う所作を見せて、鉢木の雪を払ってあらためて見入る風です。
まずは梅を切るべきかと面を伏せて考える風から、面を上げ「今更薪になすべしとかねて思いきや」の謡に鉢木に寄って腰を下ろし、二つ打って枝を取り左に置きます。

ここからクセ。桜、松と切っていく様が謡われ、「家桜切りくべて」で再び二つ鉢木を打って枝を切り取り左に置きます。「松はもとより煙にて」で切り取った枝を左手に取って立ち上がり常座まで下がると、ワキに寄って枝を置き広げた扇で仰ぐ所作。「よく寄りてあたり給へや」とクセの終わりで左手伸べて腰を浮かせ、立ち上がって大小前に下居します。

ワキが火にあたって寒さを忘れたと言ってシテとの問答になり、この間に後見が鉢木を下げます。ワキは主の名字を聞かせて欲しいと尋ねますが、最初シテは名を明かしません。しかし繰り返すやり取りのうちに「佐野の源左衛門の尉常世がなれる果にて候」と名を明かします。
佐野氏は現在の栃木県佐野市あたりに本拠を置いた一族ですが、源左衛門常世が実在の人物なのかどうかは疑わしいともされます。その根拠というのが、佐野氏が本姓藤原氏であるのに「源」左衛門の名乗りであること。佐野氏の代々は諱に「綱」の字が入るのに「常世」であること。そして佐野が下野の国にあるのに、上野の国とされていることなどだそうです。

道行の謡に戻りますが、上野の板鼻宿から佐野にいたったというこの「佐野」は、実は栃木県の佐野ではなく、現在の群馬県高崎市上佐野、下佐野あたりと解する方が理に適います。栃木県の佐野市では、それまでの地名をたどる道筋からも大きく逸れてしまいますし、距離も随分と違います。高崎の佐野は、古くは有名な地名だったらしく、能「船橋」の「佐野の船橋」も高崎の佐野にあったと言われます。「佐野の船橋」は万葉集の歌に詠まれているので、古くからの地名だったのでしょう。
栃木の佐野の源左衛門が、一族に土地を取られて上野に逃れ、同じく佐野という地に住んでいた・・・というなら話がうまく収まるのですが、いくらなんでもそれは出来過ぎでしょう。やはり常世は架空の人物と考えた方が良さそうに思えます。
それはともかく、このつづきはまた明日に
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