能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

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西行櫻さらにさらにつづき

シテ老桜の精とワキ西行のやり取りが続きます。
西行の歌「桜のとが」に、シテは何のとがかと問いかけます。西行は、浮世を離れ隠栖しているのに、桜の花故に貴賤群れ集うのが厭わしい、その心を詠んだ次第を答えますが、シテは「浮世と見るも山と見るも 唯其人の心にあり 非情無心の草木の花に浮世のとがはあらじ」と返します。

良い景色も、良いと感じるのは見る人の心であって、景色自体に良いも悪いもはありません。
見るもの聞くもの、起こることも、所詮それ自体に善悪はなく、心の内にあると考えれば、何が起きようとも穏やかな心でいられる、神仏の計らいというはそういうことなのかも知れません。

地謡「恥かしや老木の 花も少なく枝朽ちて」でシテは立ち上がって作り物を出、ゆっくりと常座に進むと、ワキと向き合う形で二人腰を下ろし、「草木国土皆成仏の御法なるべし」と合掌します。

地のクリで二人は立ち上がり、ワキはワキ座に下がって下居。シテは大小前に進んで正を向いて立ちサシ。地謡の「まづ初花を急ぐなる 近衛殿の糸桜」の謡に、少し出てワキを見、一歩引いて正面に向き直ってクセに入ります。
「見渡せば柳桜こき交ぜて 都は春の錦 燦爛たり」で始まるクセは春の花の盛りを謡い、花の都の様が目に浮かぶようです。能の曲は、それぞれに何月と配されていますが、まさに桜の季節に観るべき一曲。今頃鑑賞記を書いていると時季外れの感が否めません。

クセを舞上げ、「数添う時の鼓 後夜の鐘の音 響き添う」と、はや明け方が近づいてきた様子。「名残惜しの夜遊やな」とシテが謡い「春宵一刻値千金 花に清香月に影 春の夜の」と蘇東坡の春夜詩を謡って序ノ舞です。

ゆったりと序ノ舞を舞上げるとワカ。夜の明ける様子に「待てしばし」と招き扇して正中に出「白むは花の影なりけり」とゆっくりワキを見て、正中から抱え扇して山を見る形。舞台を廻ると「花の枕の」と下居。「夢は覚めにけり」と一声謡って立ち上がり、地謡が繰り返す詞に合わせて七つ拍子を踏み、「雪も散り敷くや」と足許を見回します。
「花を踏んでは」と扇をつまんで前に出して二つ拍子を踏み、常座に向かうと開いて袖を返し「翁さびて跡もなし」と留拍子を踏んで終曲となりました。

杉澤さんは古希を迎えられた由ですが、老桜の精に相応しい風格。会場も喜多の能楽堂が満席となる盛況でした。
(84分:当日の上演時間を記しておきます)
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