能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

栗焼さらにつづき

そこで「小さなきつね色がある」などと言って一つ食べ、これは美味いともう一つ食べたくなりますが、一つ飛ばしてしまい一つ食ってしまった上は持って行かずばなるまいとまた目付あたりまで出ます。しかし再び立ち止まると「一つ食うて叱らるるも 二つ食うて叱らるるも 同じ事じゃ」と言いだし、これに虫食いがあって片焦げになってしまったのがあるが、これこそお客さまには出されまいと、食べてしまいます。

しかしこれは苦かった様子で腹を立て、今度はこの大きなきつね色を食うてやろうと口に入れます。これは美味かった様子で、この後は止まりません。結局、四十の栗、と言っても一つ飛ばしてしまったので三十九でしょうけれども、すっかり平らげてしまいます。

はたと気付いて、さてどうしようか思案しますが、主人は日頃正直な人だから面白おかしく申し上げれば大丈夫だろうと、主人の所に戻ることにします。
舞台を廻って主を呼び出すと、笛座に控えていた主が立ち上がって二人は正中で出会います。
さて主人は焼いた栗を見せよと言いますが、すっかり食べてしまいあるわけもなし。太郎冠者は焼き上げた栗を持ってこようとしたのだが、後ろから太郎冠者、太郎冠者と呼び掛けられたという話を始めます。
「もうせん頭に頂き 鬢髪に黒き髪をなし 老人と老女と 夫婦来たり給いて 我はこれ竈の神 三十四人の父母なり 汝栗をくれいよ 汝栗をくれずば 欲し物をば取らすまじ 栗をくれたらば 富貴守らんと こと詳しうも宣へば あらたうとや思ひて 夫婦に栗を奉る」と、滔々と語り、竈の神に栗を差し上げた次第を述べます。

主人は、それは目出度いことであったと言います。太郎冠者はさらに、三十四人の公達衆が我々にも栗をくれというので、それならば進上致しましょう。しかしこの栗は私が進上するものではなく、頼うだお方が進上するものなので、なにとぞ頼うだお方を富貴栄華に守らせ給えと言って差し上げてきたと説明します。

主人は、それならば残った4つの栗を寄越せと言います。太郎冠者は全部やってしまったと言いますが、夫婦二人に三十四人の公達ならあと四つあるはずだと主人は繰り返します。算用違えだと太郎冠者は言い、適当にごまかそうとしますが、主人にツメ寄られた太郎冠者は一つ虫食いがあった、残りは、逃げ栗 追い栗 灰紛れ、などと謡い、主人が叱って留になりました。
筋立て自体は変わりませんが、栗焼く所作や、細かい台詞、栗を食べるまでに行ったり戻ったりするかどうかなど、家によって様々に演出が異なるようで、同じ大藏流でも先日の茂山家ともいささか印象が異なる一番でした。
(27分:当日の上演時間を記しておきます)
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