能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

恋重荷もう一日のつづき

後シテは出端の囃子で一ノ松まで進むと正面を向いて「吉野川岩きり通し行く水の・・・」と謡い出します。「ただ由なやな誠なき」まで謡って舞台へ。常座辺りに出て一セイ「言よせ妻の空頼め」を謡います。当日はなんだかこのあたり、詞章が違っていたように聞いたのですが、さてなんと謡われたのか。「言よせ妻の空頼め」のところは謡われなかったような感じです。

ともかくも常座に立って地謡を聞き、シテは「浮き寝のみ 三世の契の満ちてこそ」と謡い出し「巌の重荷持たるゝものか」と重荷を見、「あら恨めしや」と重荷を向いて両手で杖にすがる形になります。「葛の葉の」と謡って立廻り。
舞台をゆっくりと一回りすると両手で杖を持ち足拍子二つ。ツレを打ち据える型を見せます。

ツレ「玉襷 畝傍の山の山守も」地謡「さのみ重荷は・・・」と続き、シテは大小前まで少しずつ下がり、杖を突いて立ちます。「重荷といふも 思ひなり」と謡って、地謡「浅間の煙」で片シオリ。杖にすがりつつ「重き苦しみ」と下居。「さて懲り給へや」とツレに面を切って思いをぶつける感じです。

しかしここから場面は一転します。地謡「思ひの煙立ち別れ」で杖にすがって立ち上がったシテは足拍子二つ。盤石に押されて動けなかったツレも、ここで立ち上がり床几へ腰を下ろします。
シテは杖突きつつ角に出、「稲葉の山風吹き乱れ」と左の袖を被き、面を切ると袖を直し舞台を廻ります。
「跡弔はゞその恨みは」と正中にいたり、ツレに向かうと開いて面を切り、重荷を見、「跡も消えぬべしや」とツレに向き合います。杖を投げ捨てると「これまでぞ姫小松の」と暫し佇んで心を整えた風。ここから「葉守の神となりて」で橋掛りへ向かい、「千代の影を守らんや」と一ノ松で左袖巻いてツレを見込み、直して「千代の影を守らん」と留拍子を踏んで終曲となりました。

この終盤も他のいくつかの曲と同様に、いきなり恨みが昇華してしまったようで、いささかあっけにとられる展開ですが、これがまた能の能らしい所かも知れません。「さて懲り給へや」のところで、恨み、怒りが強く表現されるほど、思いが解放された感も強いように思います。

このところ山本さんの舞台を拝見していると、詞章の間違いなどにまま出くわしますが、それを超えたところに能の境地があるのだと思わせるような舞台でした。
ツレの西村さんが、やや俯き加減のまま、まさに盤石に押されたように微動だにせずおられたのが、たいへん印象的でした。
(73分:当日の上演時間を記しておきます)
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