能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

求塚もう一日のつづき

ワキは「あら傷病はしの御有様やな」と謡い出し、「種々諸悪趣 地獄鬼畜生 生老病死苦 以漸悉令滅」と観音経を唱え合掌し祈る形です。シテはこの祈りに「大焦熱の煙の内に晴間の少し見ゆる」と感謝し両手を合わせて合掌します。しかし二人の男達の亡心に苛まれるのか、気を変え「恐ろしやおことは誰そ」と苦しみの様子を述べ始め、「左右の手を取って」と両手を左右に引かれる形。「頭をつつき髄を食う」と両手を上げ、苦しみの姿を示します。

シテは「火宅の柱に」と謡い目付柱の方に目をやると、地謡の「縋りつき取りつけば 柱は即ち火焔となって」で立ち上がり、作り物の見所から見て左手前、目付柱側の縋りつきます。しかし「火の柱を抱くぞとよ」と柱から手を放し「あらあつや」と両肩を抱いて座り込み、安座の形になります。
シテは「而して起き上がれば」と謡い、扇持つ手を上げて頭の上へ落とす型。「追い立つれば漂い出でて」と立ち上がり、塚を出て四足ほど進むとワキを見込み、正面に直して開キます。
「炎熱極熱無間の底に」と六拍子を踏み、「足上頭下と落つる間は」で目付柱から正面へと見上げ、閉じた扇を差し出して下を指します。山姥にも同様の型がありますが、意味合いは異なります。シテは下居し、さらに「三年三月の苦しみ果てて」と廻って安座の形に。「少し苦患の隙かと思えば」と苦しみが一時去った風で扇を広げ、立ち上がると五足ほど出てサシ回し、「暗闇となりぬれば」の謡に扇で面を隠し左に回り、見えぬ中、塚を求めさ迷う風でワキ正から目付へと進みます。

角から「求め得たりや求塚の」と塚に向かいユウケンし塚へと寄ります。
正に向き直ると「草の蔭野の露消えて」と小さく塚を回り込み、横から塚に入ると正面に向いて「亡者の形は失せにけり」と枕扇から沈み込む形で下居し終曲となりました。

以前にも書きましたが、一般的な能の終曲と異なり、シテは法華経読誦によっても成仏することはなく、塚を覆う草の蔭に姿を消してしまいます。果たしてこれは菟名日少女の罪なのか、少女に救済が訪れないだけに、深い思いの残る一曲でした。

野村四郎さんは、ご存知の通り野村満さんや万作さんのご兄弟で、最近「狂言の家に生まれた能役者」という本を上梓されています。お若い頃から銕仙会の人気能楽師でもあり、私の学生時代も、女子学生達が四郎さんって素敵よねぇと憧れていたことを思い出します。
この曲では、いささかキーの高い謡が前場の少女にも似つかわしい雰囲気で、高齢となられた今もまた「花」をもって演じておられるのが感じられたところです。後場は細かく型なども記載してみましたが、この曲の持つ深い思いを表現しきった一番と思います。
(114分:当日の上演時間を記しておきます)
*** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** ***
このブログの記載方法などについてまとめています(リンク) 初めてご来訪の方はお読みいただけると幸いです
関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://zagzag.blog72.fc2.com/tb.php/2155-83f95bc6

 | HOME | 

カレンダー

« | 2017-11 | »
S M T W T F S
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -

月ごとに

カテゴリー

カウンター


最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

プロフィールなど

ZAGZAG

頑張らない、をモットーに淡々と行こうと思っています。

FC2Ad