能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

素袍落のつづき

太郎冠者は酒を勧められ、これは酒好きの様子であまり遠慮もせず飲み始めます。
例によって、最初は一息で飲んでしまい、味はどうかと尋ねられても、ただひいやりとしただけで味が分からなかったなどと返事する始末。このやり取りの形になる曲は何曲かありますが、何度聞いても面白いやり取りではあります。
また伯父さんは下戸の設定で、これは同類の曲にも共通するところですが、やたらと酔ってしまう太郎冠者との対比では、下戸の設定が活きるような気がします。

酔っ払った太郎冠者は、帰り道、小謡を謡いますが、この日は「ざざんざ」を謡いました。謡いながら歩いていると、迎えに出た主人と出会い問答になります。
ご機嫌の太郎冠者は、返事もいい加減に「あの山見さい この山見さい」と謡いつつ舞台を廻りますが、この途中、頭の上に素袍をいただき、そのまま後ろに落としてしまいます。これを主人が拾って隠してしまうと、落としたことに気付いた太郎冠者が俄に不機嫌になってしまうという展開です。

主人は素知らぬふりで、機嫌良く自ら謡い舞いまでしますが、そのうち主人の様子が変だと気付いた太郎冠者が、何か拾わなかったかと問います。主人が素袍を拾ったと言い、取り合いの末に、太郎冠者が素袍を取り返して逃げ、主人が追い込んでの留め。
このあたりは家によって様々に演出があるようですが、ともかくも見所も大笑いの一番でした。

ところでこの餞別に素袍というのが、どれほどの重さなのか、ちと図りかねるところです。室町時代には「素襖引き」といって、酒宴の際に杯をさした人に素襖を脱いで引き物として与える風習があったようで、これとこの曲との関連を推察する考え方もあるようです。
そういえば、二十四世観世左近の文に江戸時代の謡初之式にふれたものがあります。
江戸城の大広間で観世大夫が四海波の小謡を謡い、続いて観世、宝生・金春・金剛の輪番、喜多の三流の大夫が老松、東北、高砂の舞囃子。さらに三人の大夫が弓矢の立合を舞うというものです。立合の後、将軍家が自ら肩衣を脱いで観世大夫に与え、御三家をはじめ列座の諸大名も肩衣を観世大夫に投げ与へるという次第です。
この時受ける肩衣は、多いときは長持に五つ六つ、少くても三つはあったそうで、翌日各大名から使が来て、纏頭(祝儀)と引き換えて持ち帰り、その金子だけで観世家の大世帯を一ケ年は苦労なしに支えて行けたとか。そんな時代もあったそうです。
(41分:当日の上演時間をおおよそで記しておきます)
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