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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

身延のつづき

次第で登場したシテは、面は深井でしょうか、花帽子を被り摺箔に無紅唐織着流し、右手に数珠を持っています。
装束付けをみると、面は深井が基本の様子ですが「又ハ」として姥、姥鬘の形も記載されています。ただし深井の場合は鬘、無紅鬘帯とあって花帽子の記載がありません。姥の場合は花帽子と明記されているのですが、大成版の装束付けとは異なった形が喜之家の形なのか(九皐会は謡本も能楽書林版を使いますし)、シテの工夫なのかは分かりません。ともかくもこの日は老女ではなく、中年の女性の形で花帽子を被っての登場でした。

一ノ松で立ち止まり次第。地取りでゆっくりと正面を向きサシ。続けて下歌、上歌と謡い、上歌の終わり近く「御法に後るなよ御法に後れ給ふな」で向きを変えて舞台に入ると、常座まで出て佇みます。
下歌、上歌の詞章から、法華経の功徳により、この身そのままに成仏へと導かれようと願う思いが読み取れます。

シテの謡が終わると、ワキがシテに声をかけます。
シテはワキに向いて答える形で、この山のはるか麓に住む女と言います。上行菩薩の御再誕といわれる日蓮上人が、この地に来られたのに、法に逢い難き女人の身である自分は、この機を逃すことなどできないと続けます。

日蓮宗の解説をするほど仏教に詳しいわけではありませんが、上行菩薩というのは法華経の従地涌出品第十五で、地から湧き出てくる数多の菩薩の筆頭に置かれ、日蓮上人はこの上行菩薩の生まれ変わりといわれます。
女性は成仏が難しいとされますが、同じく法華経の提婆達多品第十二には娑竭羅龍王の女が成仏した話が書かれていて、法華経の教えを信ずれば女性も成仏できると信じられた・・・いわゆる女人成仏が、この曲の鍵になっています。なお娑竭羅龍王の女については、海士の鑑賞記(海士の鑑賞記より)で触れていますので、併せてご参照いただければと思います。
さてこのつづきはまた明日に
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このブログの記載方法などについてまとめています(リンク) 初めてご来訪の方はお読みいただけると幸いです
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