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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

歌占またつづき

ツレは親子の再会を祝いますが「また人の申され候は」と話を変え、渡會の何某が地獄の有様を曲舞に作って謡うと聞いているので、ぜひ謡って聞かせて欲しいと所望します。
シテは、この一曲を謡うと「神気が添うて現なくなり候へども」帰国する名残にと言って、ツレを向き「現なき有様見せ申さん」と謡って地謡に。

地次第「月の夕べの浮雲は」の一句を聞いてシテは立ち上がり、サシ込み開キ。「浮雲は後の世の迷なるべし」を聞いて、地取りで常座へ向かって後見座を向いて立ち、向き直ってクリ。大小前へと進んで地謡で床几に腰を下ろします。
シテのサシ「一生は唯夢の如し 誰か百年の齢を期せん」地「萬事は皆空し 何れか常住の思ひをなさん」シテ「命は水上の泡」地「風に随って経巡るが如し」シテ「魂は籠中の鳥の」地「開くを待ちて去るに同じ 消ゆるものは二度見えず 去るものは 重ねて来たらず」と掛け合いで謡い継ぎます。

そしてクセ、いわゆる地獄の曲舞と呼ばれる部分です。
以前にも書きましたが、この地獄の曲舞はもともと独立した謡物であったのが、古くは「百万」に取り入れられて舞われていたようです。この百万の曲舞を世阿弥が差し替え、使われなくなった「地獄の曲舞」を元雅が取り上げて一曲の能に仕上げたのが、この歌占ということのようです。

今回は便宜のためクセの詞章をまるごと記載しておきます。観世流大成版の記載を用字、フリガナそのままに書き取ったものですので、表示できない文字はご容赦ください。

地「須臾に生滅し。刹那に離散す恨めしきかなや。釋迦大士の慇懃(おんごん)の教を忘れ。悲しきかなや。閻魔法王の。呵責の言葉を聞く。名利身を資(たす)くれども。未だ。北邙(ほくぼう)の煙を免れず。恩愛心を悩ませども。誰か黄泉(こうせん)の責に從はざる。これが為に馳走す。所得(しょどく)いくばくの利ぞや。これに依つて追求(ついぐ)す。所作多罪なり。暫く目を塞いで。往事を思へば。舊遊皆亡ず。指を折つて。故人を數ふれば。親疎多く没(かく)れぬ。時移り事去つて。今なんぞ。渺茫たらんや人留まり我往く。誰かまた常ならん。
シテ「三界無安猶如火宅。
地「天仙尚し死苦の身なり。況んや下劣。貧賎の報に於いてをや。などかその罪輕(かろ)からん死に苦しみを受け重ね業に悲しみなほ添ふる。斬鎚(ざんすい)地獄(じごく)の苦しみは。臼中(きゅうちゅう)にて身を斬る事截断(せつだん)して。血(ち)狼藉(ろうせき)たり。一日乃その中(うち)に。萬死(ばんし)萬生(ばんしょう)たり。剱樹(けんじゅ)地獄の苦しみは。手に剱(つるぎ)の樹をよどれば。百節零落す。足に刀山(とうせん)踏むときは。剱樹共に解(げ)すとかや。石割(せっかつ)地獄の苦しみは。両崖(りょうがい)の大石(だいせき)もろ/\の。罪人を砕く次の火盆(かぼん)地獄は。頭(こうべ)に火焔を戴けば。百節の骨頭より。焔々たる火を出す。ある時は。焦熱大焦熱の。焔に咽びある時は紅蓮大紅蓮の氷に閉ぢられ。鉄杖頭を砕き。火燥足裏を焼く。
シテ「飢ゑてハ。鉄丸を呑み。
地「渇してハ。銅汁を飲むとかや。地獄の苦しみハ無量なり餓鬼の。苦しみも無邊なり。畜生修羅の悲しみも。我等にいかで勝るべき。身より出せる科なれば。心の鬼の身を責めて。かやうに苦をば受くるなり月の夕べ乃浮雲は。後の世乃迷ひなるべし。

舞の様子など、このつづきはまた明日に
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このブログの記載方法などについてまとめています(リンク) 初めてご来訪の方はお読みいただけると幸いです
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