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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

歌占を廻ってのつづき

まずは須弥山の話を書いておこうと思います。
この歌占の詞章を読んでいて、ずいぶん前に読んだ講談社現代新書の「須弥山と極楽」という本を思い出したのは、先日書いたとおりです。調べてみると絶版という訳ではなさそうなのですが、とは言え現在は書店でもネットでも手に入りません。

そんなわけで、この本に書かれた須弥山を中心とした世界の様子を簡単にまとめておこうと思います。この本は当時東海大学の教授だった定方晟さんが書かれたもので、ヴァスバンドゥ(世親)の『倶舎論』を元に宇宙の様子などを記述しています。

虚空の中に風輪という円盤状のものが浮かんでいます。周の長さは「無数」で厚さ160万由旬とされています。「無数」は音訳では「阿僧祇」とされ、時代や地域によって10の31乗とか10の104乗とか様々なことが言われますが、ともかくもの凄く大きな数ということです。ちなみに阿僧祇は恒河沙の上の位ですが、恒河沙はガンジス川の砂の数ほどの意味だったと記憶しています。
由旬の方も様々な説がありますが、倶舎論の解釈に際しては1由旬が約7㎞とされるようです。繰り返しますが、とてつもなく大きな円盤状のものが虚空に浮かんでいると、そういう程度の話です。

この風輪の上に水輪(すいりん)があり直径120万3,450由旬、厚さ80万由旬。さらに水輪の上には金輪(こんりん)が乗っており、こちらは直径120万3,450由旬、厚さ32万由旬とされます。
水輪と金輪は直径が同じで、もともとは一つの水輪だったものが、牛乳を温めると膜が出来るように、上部に金輪ができたとされます。この水輪と金輪の境を金輪際(こんりんざい)といい、真底という意味になります。

金輪の上には九つの山があり、中央が須弥山でその外側に七重の方形の山脈のような形で山があります。市川団十郎の定紋である三枡文が七重になっているようなイメージです。この須弥山を囲む七重の山の外に四つの洲・・・大陸を想像すれば良いと思いますが、これが浮かんでいます。

須弥山の東方が勝身(しょうしん)洲、南に贍部(せんぶ)洲、西には牛貨(ごけ)洲、そして北が倶盧(くろ)洲という四洲です。これらの外側、金輪の縁近くには環状の山である鉄囲山(てっちさん)があります。鉄囲山はその名の通り鉄で出来ていますが、七重の山は金で出来ており、須弥山は金、銀、瑠璃、玻璃の四宝から出来ています。

四洲はそれぞれ、勝身洲が半月形、贍部洲はほぼ逆三角形に近い台形、牛貨洲が満月形、倶盧洲は方座型とされていて、人は贍部洲に住んでいるとされます。贍部洲は閻浮提(えんぶだい)とも呼ばれますが、逆三角形の北の方に山があり南は平地となっていて、直ぐに想像つくとおり、この贍部洲の形はインド亜大陸そのものです。

一方、世界の中心にあるとされる須弥山ですが、インド神話ではメール山、あるいは「善・・・妙」を意味する接頭辞「su」を付けてスメール山と呼ばれる山のことで、そのスメールを音訳して蘇迷盧とも言われます。この蘇迷盧が転じて謡曲中の蘇命路になっていると思われます。

この本には地獄や西方浄土、そしてこうした世界の記述から、仏教が何を目指したのかなどか書かれていますが、今回はとりあえず須弥山世界の記述に留めて、明日はこれをもとに歌占の占いの言葉を読み解いていこうと思います。
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このブログの記載方法などについてまとめています(リンク) 初めてご来訪の方はお読みいただけると幸いです
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