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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

七騎落 観世喜正(九皐会)

観世流 矢来能楽堂 2018.12.09
 シテ 観世喜正
  頼朝 観世喜之、田代 小島英明、新開 佐久間二郎
  土屋 奥川恒成、土佐坊 河井美紀、遠平 観世和歌
  岡崎 坂真太郎
  ワキ 宝生欣哉
  アイ 野村万蔵
   大鼓 亀井忠雄、小鼓 鵜澤洋太郎
   笛 竹市学

この七騎落(しちきおち)という曲、ご覧の通り登場する役者が多人数となるためか、上演は少なめです。度々引用させていただいている大角さんの観世流演能統計でみると、昭和25年から平成21年までの60年間通期では119位ですが、近年は上演が減っている様子で平成2年から11年では144位、12年から21年では153位となっています。
遠い近いで言うと、観世流では近い百番ほどを百番集に、遠い曲を続百番集に収録していますが、本曲は百番集にあります。武士好みの内容でもあり、かつては近い曲だったのでしょうが、徐々に上演が減っているというところかも知れません。そんなためか、以前に観たことはありますが、このブログを書き始めてからは初めてになります。

話は頼朝が挙兵した石橋山の合戦。源氏再興の旗揚げを図ったものの、手勢少なく大敗した頼朝一行は土肥の杉山に逃れます。源平盛衰記巻二十一によれば、この時、主従七騎は山に隠れ、さらに矢尽きて追いついた田代冠者を加えた八人で地蔵堂に隠れながら敵の手を逃れ、房州に落ち延びたとあります。
この山に隠れた主従七騎は「(頼朝に従う)土肥次郎実平、同男遠平、新開次郎忠氏、土屋三郎宗遠、岡崎四郎義実、藤九郎盛長也」とあり、この後追いついた田代冠者を加えて八騎となります。この八人のうち土肥遠平を除く七人を祀った七騎堂が、土肥氏の菩提寺であった湯河原の成願寺にあるそうです。

この名前と、当日の役名を比べてみると、安達盛長(藤九郎)の名がなく、代わりに土佐坊が入っています。源平盛衰記の記述では、主従七騎は大きな伏木に隠れますが、この時、藤九郎盛長が頼朝の先祖である伊予守の例を引き、貞任宗任を攻めた際にいったんは敗れて七騎で山中に籠もったが、終には逆賊を討ち四海を靡かせた吉例であると言い、頼朝も心強く思ったとあります。伊予守は源頼義、前九年の役で安倍貞任、宗任を攻めた際の逸話です。

この曲はこうした伝承などを題材として創作されたようで、土肥実平、遠平親子の情と鎌倉武士の忠節とをドラマに仕立てた一曲です。遠平を船から下ろす云々のやり取りは作者の創作のようですし、安達盛長を外して土佐坊を入れたあたりもどういう考えだったのか不明ですが、作者不詳のこの曲、なかなかに面白い一番です。舞台の様子は明日から書いていこうと思います。
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このブログの記載方法などについてまとめています(リンク) 初めてご来訪の方はお読みいただけると幸いです
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