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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

舎利さらにさらにつづき

後から出たツレ韋駄天が常座で開キ、この寺を守護する韋駄天と名乗ります。足疾鬼に牙舎利を置いて行けと呼ばわります。
シテは立ち上がりツレを見て「いや叶ふまじとよ此仏舎利は 誰も望の あるものを」と謡って拒み、地謡が「欲界色界無色界」と受けて舞働になります。
舞働では舞台中央で打合う形から舞台を回り、シテは橋掛りへと逃げてこれをツレが追いかけます。三ノ松と一ノ松に分かれて向き合ったところから打合いになり、立ち位置を入れ替えてシテが先に舞台に戻り、ツレが追って、舞台上で二人がサシ込開キして地謡。
「欲界色界無色界 化天耶麻天他化自在天…」と謡います。
韋駄天に追われて足疾鬼が帝釈天まで逃げ上り、梵天が足疾鬼を下界に追つ下す様子を地謡が謡い、詞章に沿ってシテ、ツレが交互に一畳台に上って三十三天を攀じ上る様を示し、「梵王天より出で会ひ給ひて もとの下界に 追つ下す」の謡に、シテ足疾鬼は一畳台から後ろに飛び降りて下界に落ちた様。続いてイロヱ。

ここがまた本曲の珍しいところで、舞働の後に地謡が入り、さらにイロヱが入ります。舞働の後にイロヱが入る曲というのは他に記憶がないのですが、まあこれは私が知らないだけかも知れません。
ゆっくりとした調子になり、ツレはゆっくりと台を下りて、二人は地謡前と常座に分かれて見合う形になります。ごくごく短いものですが、このイロヱで単なる舎利の争奪戦にぐっと深みが出るように感じます。

シテが「左へ行くも」と謡い、地謡が続けるなか、シテは「虚空にくるくるくると」の謡に合わせて台上で回り、ツレが一畳台に上がると、シテが台に腰を下ろし、ツレがシテを抑えて打ち杖で打つ形。シテが舎利を差し上げてツレ韋駄天がこれを取り上げます。
シテは橋掛りへと逃げ、二ノ松あたりで袖被いて腰を落とし姿を隠した態。「心も茫々と起き上がりてこそ 失せにけれ」の謡に、再度立ち上がって留拍子を踏み終曲となりました。
附祝言は高砂。

「眠くならない能」、たしかに動きがあり退屈しないで見られる能ではありますが、今回、いろいろと気を付けながら観てみると、存外奥の深い曲であると思った次第です。
仏舎利の有難みも、現代と本曲が作られた時代では全然違うでしょうから、前場の仏教東漸の話や、牙舎利が本朝に伝えられ泉涌寺にまつられていることも、当時京都に住み本曲を見る人たちには深い思いを感じさせるものだったかと想像しています。
後場の登場楽や、舞働とイロヱなども興味をそそる謂れがありそうですが、今回の鑑賞記はまずはこれまで。
(61分:当日の上演時間をおおよそで記しておきます)
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このブログの記載方法などについてまとめています(リンク) 初めてご来訪の方はお読みいただけると幸いです
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