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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

松山鏡もう一日のつづき

ツレは摺箔に無紅縫箔腰巻、白練壺折で右手に杖。面は痩女でしょうか、常座に出て「子は親に 似るなるものと思われて 恋しき時は鏡をぞ見る」と謡います。
杖を後見が下げ、ツレは地謡で正中に進み床几に腰を下ろします。

ツレサシ「これを水と言はんとすれば」から地謡と掛け合いで、昔を語るから夢を覚まさないようにと謡い継ぎクセに。
クセでは唐土の破鏡の伝説が謡われます。陳氏という賢女があり、夫が遠く出かけるに際して鏡を二つに割り形見にしたものの、その後、文も絶え夫は帰ってこず、風の便りに夫は出先の国で国主となり妻も娶った様子。いかんともし難く泣き暮らしていたところに、鵲が飛び来たります。鵲は陳氏の肩に羽を休め、不思議なことに割れた鏡が元に戻ったという話。
実はこの部分については、幸田露伴が「金鵲鏡」という短編を書いています。破鏡については神異経と本事詩に記載があるが、いずれも松山鏡の話とは異なっており、どうやら松山鏡の作者が、この二つの伝説を一つにまとめて謡曲に記したのではないか、と推論しています。詳細は「金鵲鏡」をお読み頂ければと思いますが、興味深い話です。

さてクセが終わると早笛。ツレは立ち上がって地謡座前に着座、シテ倶生神が登場してきます。赤頭に面は小べし見でしょうか。唐冠をつけ、朱の半切に紺地の袷狩衣、二ノ松に立って「いかに罪人何とて遅きぞ」と謡います。
姫の母が片時の暇を欲しいと言って現世に戻ったものの、帰りが遅いので冥官が怒り、倶生神がやって来たのだと謡います。地謡で舞台に入るとツレに寄って立たせ、鏡の前に連れて行きます。そのままツレを鏡前に残し、自身は常座で足拍子を踏んで舞働。

舞上げると「こはいかに不思議やな」と謡い、地謡が、孝子の弔う功力によって母の霊は菩薩の座像かと疑う姿に変じたと謡うに合わせて鏡前に出てのぞき込み、扇持つ手を上げて頭扇、開イて七つ拍子踏み、常座から「すはや地獄に帰るぞとて」とツレに向いてサシ込み開キ、角で「大地をかっぱと踏み鳴らし」と足拍子踏んで常座へ。「奈落の底にぞ入りにける」と袖被いて姿を隠し、改めて立って留拍子を踏みました。

ツレの方がむしろシテらしい感じさえする展開で、なかなかこれを選んで演じるシテ方は出てこないかも知れませんが、倶生神もまた極めて重要な位置付けでもあり、もう少し上演されても良いのになあ、と思った次第です。
(55分:当日の上演時間をおおよそで記しておきます)
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