FC2ブログ

能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

加茂物狂 佐野玄宜(五雲会)

宝生流 宝生能楽堂 2019.05.18
 シテ 佐野玄宜
  ワキ 宝生欣哉
  ワキツレ 吉田祐一
   大鼓 高野彰、小鼓 森貴史
   笛 成田寛人

加茂物狂は十年以上前に東川光夫さんのシテで拝見した時の鑑賞記を書いて以来です(鑑賞記初日月リンク)。その際にも書きましたが、本曲は宝生、金剛、喜多の三流にしかありませんで、あまり見かけることの多くない曲です。とは言え宝生流では五雲会などでときどき上演される様子で、前回も五雲会での演能でした。

さて舞台は次第の囃子が奏されて、ワキ一行の登場です。ワキは段熨斗目に素袍上下、男笠を被っています。ワキツレはいわゆる素袍男。二人で登場し舞台中央で向き合って次第を謡います。地取りでワキは笠を外し、自分は都の者だが子細あって東国に出かけ早十年が経ってしまった。あまりに故郷も気がかりなので、思い立って都に上るところと述べて道行に。

以前の鑑賞記を書いた際に、宝生の本では東国に出かけ早三年とあり、下掛の本では十年とあるようだと書きましたが、その後、昭和初年の金剛右京訂正の本を見てみると、こちらは「早三年」と記載されています。
あらためて宝生、金剛、喜多各流の本と、実際の舞台を比べてみると、一番喜多の本に近い感じです。一方で名乗りの後の道行の謡は宝生の本とほぼ同じでしたが、金剛や喜多の本ではこの謡の前に「夕ざれば汐風越えて陸奥の 野田の玉川千鳥なく」で始まる、まさに道行らしい詞章があり、この部分が省略されています。それでいて道行の終わり「ながめ短きあたら夜の」の後「花の都に着きにけり」は金剛の本と同様に「月の都に着きにけり」と謡いました。「夜」でもあり「月の都」も良い感じですが、「月の」で「着き」はいささかくどい感じがしないでもありません・・・

さらに道行の謡の後、宝生の本にはありませんが、金剛や喜多の本にはワキとワキツレのやり取りがあり、舞台でもワキがかつて住んでいた家の辺りにやって来て、ワキツレに家の主を尋ねてくるようにと命じました。ワキツレが主は行方知れずになっていると答えると、ワキはちょうど今日が加茂の御神事の日なので、御参りして行方知れずとなった妻のことを祈り、あわせて御神事もみようと言ってワキ座に着きます。
両流の本では、このワキの台詞のなかに「無惨やな さしも契りし中なれども」で始まる女を思う詞章があり、金剛流ではここに節付けもありますが、舞台ではここの部分は省略されていまして、全体としてみると、下掛の本をもとにしつつ宝生流に寄せたような印象です。
ともかくもワキ、ワキツレがワキ座、地謡前に座してシテの出を待つ形になりましたが、さてこのつづきはまた明日に
*** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** ***
このブログの記載方法などについてまとめています(リンク) 初めてご来訪の方はお読みいただけると幸いです
関連記事
スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://zagzag.blog72.fc2.com/tb.php/2536-f00e900c

 | HOME | 

カレンダー

« | 2020-02 | »
S M T W T F S
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29

月ごとに

カテゴリー

カウンター


最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

プロフィールなど

ZAGZAG

頑張らない、をモットーに淡々と行こうと思っています。