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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

簸屑のつづき

小アドは再びシテを起こし、このところ小舞を稽古しているので、目が覚めるように舞を舞って見せようと言い、シテが同意すると地を謡ってくれと言います。ここはその時々で適当な小舞を舞うようですが、この日は七つ子を万之丞さんが舞いました。その舞のうちに眠気を催したシテは、居眠りどころか横になって寝てしまいます。
シテが眠ったことに気付かず舞い終えた小アドは、シテを起こそうとしますが、ゆすっても目を覚まさないので、一計を案じ「いたしようがござる」と言って、後見座から鬼の面を持ってきます。抜き足、差し足してシテに寄り、持ち出した鬼の面をシテに被せて下がり、大小前に座して控えています。
するとシテが、さてもさてもよう寝たと言いつつ起き出しますが、なにほども茶が挽けていないのに気付き、主人が戻ったら良いとは言わないだろうから、急いで挽こうと言って茶を挽きだします。枕下りにねたせいか顔がおもはれた様な気がすると言いますが、頭を低くして寝たので顔が腫れぼったくなってしまったのかといった意味でしょう。このあたりは抜殻にも同様の章句があります。
そうこうしているところにアドの主人が帰ってきます。太郎冠者が待ちかねているだろうと言って、太郎冠者今戻ったと声をかけますが、シテが迎えに出ると鬼が来たと言って大騒ぎになります。鬼はどこにとシテが問うと、己(おのれ)が鬼ぢゃと言ってアドは次郎冠者はおらぬかと小アドを呼び出します。
大小前に控えていた小アドが立ち上がって出て何事かと問うと、アドが鬼が来たと言います。小アドもシテを見て、「のう恐ろしや」と恐ろしがり、アド、小アド二人で「あちへ行け」と追い払おうとします。シテは声を聞いてくれ、自分は太郎冠者だと言いますが、なるほど声は太郎冠者だが顔が鬼だと二人は言い合う様子。シテは小アドに、朋輩のよしみなので水鏡を見せてくれと頼みます。小アドが用意し、シテは正中辺りで水鏡を覗く形になります。
自分の姿を見て鬼になったと納得したシテに、どうしてそのようなことになったのかとアドが問います。シテは茶を挽いているうちにあまりに眠くなり、しばらくまどろんでいたら、このような恐ろしい姿になったと答えます。これにアドは、それは気の毒なことだが、とは言え身内に人が生きながら鬼になったというのでは世間の外聞もあろうから、出て行けとシテに言い放ちます。
シテは、尤もなことだが、よそに行っても寄せ付けてはくれないだろうから、これまでのような奉公は叶わないものの、門番でもさせてくれと頼みます。しかしアドは、鬼が門の番をしたのでは人の出入りができないだろうと言い、小アドに「次郎冠者早う追い出せ」と命じます。シテはお台所の火たきでもさせてくれとさらに懇願しますが、台所には女子供もいるのに、そんな恐ろしい面で火をたかせることはできないと言って、アドはシテを追い出そうとします。
シテは、それならば医者に療治をさせるようにしてくれと頼みますが、医者は人間の病を治すもので鬼の療治などとは聞いたことがないとアドは断り、「次郎冠者早う追い出せ」と再び命じます。小アドは、自分が追い出すので、怪我をしないように主人は奥に入るようにと勧め、アドはここで退場します。
小アドは「さあさあ鬼殿、もはや叶わぬ出ておゆきあれ」とシテを追い出しにかかります。シテは、犬も朋輩、鷹も朋輩という言葉があるように、なんとかとりなしをしてくれとと頼みますが、小アドは鬼の朋輩はないと言って追い出そうとします。シテは、それならば家にかくまってくれと頼みますが、小アドはそれは迷惑と言い「おのれが様な者はこうして置いたがよい」とシテを転ばせてしまいます。
ところがそのはずみに鬼の面が外れます。面に気付いたシテは、小アドにこれは何ぢゃと詰めよりますが、小アドは「やいうつけ」とシテを罵り、あまりによく寝ていたので鬼の面を着させておいたのだと明かします。子細が分かったシテは小アドを追い込み終曲となりました。
舞台の様子は以上の通りですが、萬さんのお元気な舞台姿に感動です。長年の修練の賜物なのでしょうけれども、素晴らしい舞台を拝見した気持ちです。詞章は和泉流狂言大成にて補記させて頂きました。
(33分:当日の上演時間をおおよそで記しておきます)
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このブログの記載方法などについてまとめています(リンク) 初めてご来訪の方はお読みいただけると幸いです
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