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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

東次郎さんの宝の槌つづき

すっぱ役の遠藤博義さん。なんでも病気を抱えておられると聞いているのですが、そうしたことを感じさせることもないきちんとした芸風の方で、この日も田舎者をだます役どころを丁寧に演じておられた感じです。


宝を買おうと声をかけている太郎冠者に、太鼓の撥を鎮西八郎為朝が鬼ヶ島から持ち帰った打出の小槌だと言って売りつけるわけです。
そして宝を打ち出す時の呪文を教えます。すっぱは太郎冠者が丸腰なのを指摘し、試しに腰の物を打ち出してはどうかと勧め、太郎冠者もその気になって呪文をとなえます。
この呪文は絵馬の間狂言で鬼達が唱えるのと同じものですね。


太郎冠者が呪文を唱えて撥を打つと、すっぱは自分の小刀を冠者の前に投げ出して「出たは 出たは」と言って囃すので、冠者はすっかり打出の小槌と信じてしまい、小刀を腰に差して満足。すっぱは一応、その小刀を置いていけと言いますが、太郎冠者が証拠にするというので、それならばと認める形になっています。


さて帰宅した冠者は主に宝と言って撥を渡しますが、主はこんなものはいらないと捨ててしまう始末。冠者はあわてて「南無宝」と撥をおしいただき、すっぱの言ったとおりに説明して、腰の物を見せ、これを打ち出した打出の小槌と説明します。


主も、それではと信じ始める様子。太郎冠者は主人に馬を打ち出してみようと提案します。とは言え呪文を唱えて撥を振っても、馬が出てくるわけもありません。冠者を焦って、馬野足を八本にして出そうといいますが、主に「必要ない」と言われてしまい、後先に頭をつけて出そうなどと時間稼ぎをする始末。
なんどやっても馬野出るわけもないのですが、最後は冠者が「おっつけ馬も出ようが、主が立身して不審をする瑞相に、番匠の音がかつたりかつたり」と落とし、主が「それこそめでたけれ」と受けて留めになりました。


私が記憶に残っている最初に観た狂言は、若き日の東次郎さんだったと思いますが、いつになっても暖かみのある素敵な狂言をされる方と思っています。
(25分:当日の上演時間を5分単位程度で記しておきます)

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