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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

俊寛さらにつづき

到着した赦免使は、赦免状をシテに渡すのですが、シテからさらに手渡されたツレ康頼が読み上げます。
しかしこの赦免状には成経と康頼の名はあるものの、俊寛の名はありません。


シテは自らも赦免状をよくよく見たうえで、ワキに「筆者の誤りか」と問いますが、ワキの返事は「俊寛一人をば此島に残し申せとの御事にて候」と厳しいものです。
この返事に俊寛は悲嘆にくれ、謡に合わせてシオリを繰り返して泣くばかりの有様を示し、クセに入ります。
クセは居グセで切ない謡が続く中、前半はたたんだ赦免状を持っていたものを、後半では開いてさらに読み返し、裏を返しても自分の名がないことを確かめて、謡に合わせる形で二度ほど膝を打って、赦免状を捨てモロジオリとなります。能の形としては号泣というところですね。これはちと涙無しに観るのは難しいほど。小倉さんの熱演でした。


さらにアイが二ノ松あたりに片づけておいた船を一ノ松あたりに持ち出し、艫綱を常座の方に引きます。
アイは舳先に、ワキは艫の方に乗り込み、ツレを促して船に乗せる形。
シテは「僧都も船に乗らんとて」と康頼の袖に両手をかけて引き留めますが、ワキに制せられ、せめてはと艫綱に取り付きますが、これもワキが両手で断ち切ってしまいます。


船中の三人は、都に上れば助命嘆願する、帰洛を待てなどと声をかけるものの、その声も幽かになると謡がつづき、ワキ、ツレは退場。アイも船を持って姿を消し、一人残ったシテが幕の方を見てシオリをして留めになります。


このあたり歌舞伎ですと、俊寛がこけつまろびつ艫綱に取りすがり、涙ながらに手を振りながら船を見送る場面がより写実的に描かれます。
能の場合、謡の詞章としては俊寛の悲嘆が強烈に描かれていますが、演技自体は抑制されて、まさに能らしい展開。この抑制された悲しみが、私がこの曲を好きな理由の一つでもあります。
(60分:当日の上演時間を5分単位程度で記しておきます)

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