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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

寺井さんの巴さらにつづき

後シテの装束は観世流の場合かなり幅広に選択できるようになっています。
梨打烏帽子に長刀を持って軍装での登場にはなりますが、下は白大口か色大口、あるいは模様大口の選択もありますし、上も唐織を壺折に着ける場合もあれば長絹の場合もあります。
昨年二月の閑能会、関根祥人さんの時は替装束の小書を付けて法被肩上げの甲冑を表した装束で出ました。今回は唐織壺折に緋の大口でしたが、この装束をどう選ぶかでシテをどう表現するのか、能役者の考え方、捉え方の見せ所ということですね。


長刀を携えた女武者として登場し、橋掛りするすると進んで常座で長刀を一振り。女ながらも勇ましい姿です。


義仲の最後に立ち添えなかった憾みを示し、その執心で現れ来たったとシオリます。
ここで長刀を後見に渡し、扇に持ち替えて床几に腰を下ろしてクセとなります。
金春では長刀をかき抱いたまま床几に腰を下ろし、クセも長刀を携えたままでした。こちらの方が武者としての勇ましさが強調される感じがします。
クセからロンギへと謡が進み、義仲の最後の様を仕方話に見せることになります。


途中で再び長刀に持ち替えて敵との一戦を示し、橋掛りへ入って敵を追い払う様を見せ、義仲の最後の場に立ち戻ります。
義仲の遺骸に別れを告げ、烏帽子を取り、外した太刀を義仲の形見と左袖に抱えて女の姿として落ちのびる形。
小袖を引きかづく型もありますが、唐織はそのままに左袖で太刀を抱えただけで女の形を表現したわけですが、間延びせず良かったかと思います。


問題はそのあと「ひとり落ち行きし後めたさの執心を」で、突然にホロっときてしまいました。それまでもシオル型は何度か出てくるのですが、あまり思いを込めた感じを受けませんでした。それが、この最後の一句に思いが集約されているように感じたところです。
義仲の最後に立ち添えなかった憾み、というのを文字通り「うらみ」と思っていたのですが、「後めたさの執心」に思いを込めると、はからずも生きながらえてしまった我が身を恥ずる気持ちと、亡くなった義仲への惜別の情とを、この一点に集約したようで深く感じるところがありました。
(80分:当日の上演時間を5分単位程度で記しておきます)

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