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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

鬼瓦 善竹十郎(喜多流職分会自主公演能)

大藏流 喜多六平太記念能楽堂 2006.4.23
 シテ 善竹十郎、アド 善竹富太郎



いわゆる大名狂言というカテゴリーに分類される曲。田舎の大名が訴訟のために都に長逗留していたものの、ようやく事が片付き帰国することになったので、在京中に信仰していた因幡薬師へお礼とお別れの参詣をするという次第です。



シテの大名とアドの太郎冠者が登場し、シテは「遠国(おんごく)に隠れもなき大名です」と名乗ります。
ご存知のように、この時代の「です」は現在のような丁寧な言い回しではなく、相当に武張った言い方だったそうですが、「隠れもなき」と自分で言うくらいなので、まさに精一杯威張った感じなのでしょう。



主従して薬師のお堂に参詣しますが、さて今回の訴訟が万事うまくいったのも、この薬師に参詣していたおかげということで、大名は自分の領地にも薬師を勧請しようと考えます。
そのためお堂の様子など、二人でよくよく覚えておこうと見て回るのですが、欄間、蛙股、破風と数え上げる中で、破風の上の鬼瓦を見て大名が泣き出してしまいます。
理由はというと、国元に残してきた妻に似ているから、という話。鬼瓦と似た女房というのもどんなもんだろうというところですが、その女房が恋しくて泣き出してしまう大名のおかしさ。
この曲、和泉にもありますが、この女房の例え方が微妙に違っていますね。



善竹十郎さんの大名はなかなか味があって、この妙な田舎大名のおかしさが伝わってきます。アドの太郎冠者は、泣き出した大名に素直に従って「そういえば似ている」と相槌を打ちますが、こちらはこちらで妙な田舎者らしい真面目さが感じられる演技でした。



太郎冠者が「これから領地に戻るので早晩会える」と言い、二人で笑って帰ることにします。
この最後にひと笑いする形式が笑い留め。笑い終わった後、ふっと真顔に返るのですが、これがとても良かった。
実は私、この狂言の笑い終わった後にふっと真顔に返るところが好きでして、これは若い頃の野村萬さん・・・当時の万之丞さんが絶品だと思っていましたが、この鬼瓦も良かったです。見所からも、真顔に戻ったところで、逆に笑いが出ました。

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